明治大学は「ディズニー留学」で単位も給料も バンカラ校が「女子高生の憧れ」になった理由

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この制度のきっかけをつくった明治大学国際日本学部の小林明准教授が語る。

「ディズニーは、アメリカ全土の多くの大学から毎年5000人以上の学生をインターンシップで受け入れています。ACE(アメリカン・カウンシル・オン・エデュケーション)が大学として単位認定してもいいですよ、ということを推奨して社会的に認証されていますので、単位化できるようになっています」

このACEのメンバーに入っているフロリダ州立大学がディズニーと契約しており、明治大学は、そのフロリダ州立大学と提携をしたのである。

「最初の10日間ほどフロリダ州立大学に行って異文化適応、異文化コミュニケーションなどの集中教育が行われます。それからすぐにオーランドのディズニー・ワールドに行きます。それぞれの職場のオリエンテーションが短いところで2週間、長いところで1カ月。訓練を終えて、4カ月ほどフルキャストで働きます」

もちろん仕事をしたり、パーク内で遊んでいるばかりではない。大学で学ぶ10日間で3単位分の正規の授業を受け、それ以外は月に1回フロリダ州立大学の先生が出張講義をしてくれる。2、3時間の授業が行われるほか、レポートが毎月最低1つ以上課される。

だが、インターンとはいえ、給与も支払われるのだ。最低時給は10ドル。週に30時間がギャランティされ、本人が希望すれば、60時間、70時間働く学生もいる。

「職種が10種類ほどあります。ホテルのコンシェルジュ、フロント、ディズニーショップの販売員、レストランのウエーター、フード販売など多岐にわたります。世界で最も有名といっていいエンターテインメント施設ですから、お客さんをとにかく大切にします。しっかりした接客が求められます」

泣き出す学生もいる、リクルーター面接

それだけに、もちろん誰でも行けるわけではない。相当な英語力も問われる。国際日本学部では、入学すると週12時間の英語の授業が待っている。ネーティブによる完全な英語漬け授業だ。これを頑張って乗り越え、学部内の基準をクリアしたうえで、ディズニー・ワールドのリクルーター面接にパスしないといけない。この面接が厳しく、泣き出す学生もいるという。

しかし、毎年四十数人がこの面接にパスし、本当に夢の国に行っているのだ。実はこの話、受験生の間では知る人ぞ知る話になっており、ディズニー留学について高校時代に知って、国際日本学部を受験したい、と明治大学に憧れる女子高生たちも少なくない。このプログラムを目指して受験を頑張り、さらには英語漬けになる授業も頑張るのだ。

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