「医療モール」は駅活性化の切り札となるか

中核駅から地方駅まで導入事例が増えてきた

2つ目は、「駅ビル医療モール」である。代表例としてJR札幌駅すぐ側のJRタワーオフィスプラザ札幌の中で開設する「ファーマライズ医療モール」があげられる。この医療モールは、駅の改札口の外にあるが、ビルが駅に直結しており、通院のために駅構外に出る必要がないことから、天候に左右されずに通院することができる。しかも、この医療モールには総合案内が設けられ、複数の専門科や健診センターなどが併設されているため、病院へ通わなくても病院医療並みの専門性の高い医療が受けられる。

3つ目は、「高架下医療モール」である。代表例として2014年6月に開設した「練馬高野台駅メディカルゲート」をあげることができる。高架下の未利用地を有効活用するので、鉄道事業者側にとっては、資産価値の維持向上が期待でき、住民・地方行政側から見ればまちの利便性と魅力を高めるので双方にメリットがある。

4つ目は、「駅周辺型医療モール」である。代表例として名古屋市営地下鉄の栄駅近くに開設された「エスエル医療グループ」をあげることができる。この医療モールは、40軒以上の医療機関から構成されており、主に周辺地域の企業で働く就業者が通勤途中で利用している。

出典:筆者作成

医療モール活用のメリットは大きい

駅ビジネスに医療モールを活用するメリットは、主に2つある。

まず、交通と医療の双方のアクセスが向上するということである。駅から医療モールまでの移動距離が短縮されるので、通勤・通学の途中に通院したり、通院後に他の用事を済ませたりすることができる。

次に、駅に行くことで専門性の高い医療が受けられることである。医療モールは、2000年以降に広まった新しい開業形態で、経験と実績を備えた専門医が多い。また、高度な検査や診断ができる機器を保有していることが多いため、病院へ行かなくても専門性の高い医療が受けられる。また、複数の専門医が診療しているため、他科への紹介も行われやすい。

地方都市では、病院が交通アクセスの悪い場所に立地していることが多いが、特に混雑している病院では「3時間待ち3分診療」と揶揄されるように、移動と受診だけで1日が終わる場合もある。このため、通院のために休暇を取らなければならず、定期通院する患者には経済負担が大きい。しかし、駅ナカや駅近くに医療モールがあれば、通院時間が短くなるので、1日を有効活用することができる。

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