「医療モール」は駅活性化の切り札となるか 中核駅から地方駅まで導入事例が増えてきた

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西武池袋線・練馬高野台駅付近の高架下に開設した医療モール(写真:西武鉄道)

地方都市では、中心市街地を再生するために、新しい駅ビジネスが展開されている。駅ビジネスといえば、飲食店、百貨店、ホテル、公共施設などを集めて複合化し、集客力を強化するのが一般的だが、最近は医療モールを活用した駅ビジネスを展開し、地域の交通と医療のアクセスを向上させることによって、中心市街地の活性化に寄与する事例が誕生している。そこで、今回は、医療モールを活用した新しい駅ビジネスに着目し、その概要と今後の発展の可能性について解説したい。

医療モールを活用した駅ビジネスの背景

医療モールは、医療法で定義された用語ではないが、一般的にはオフィスビルや商業施設の一画に、複数のクリニックや調剤薬局などを集積した医療施設をいう。いわゆる医療版の総合デパートとイメージすればよい。公的な統計は存在していないが、2000年ごろから都市部を中心に頭角を現し、年間で約100軒増加していると推計されている。これまではショッピングモールを中心に発展してきたが、最近では医療モールを活用した駅ビジネスがひそかに広がっている。

医療モールを活用した駅ビジネスが増えている背景には以下の4つが影響していると考えられる。

第1に、駅ビル経営の将来戦略として、鉄道事業者が医療分野に高い関心を寄せていることである。人口構造の変化に伴って、地方都市では人口減少、駅利用者の減少、駅前商店街の衰退などが起きており、鉄道経営にとって看過できない深刻な問題に直面している。このため、問題解決の切り札として、医療モールを活用した駅ビジネスに注目している。駅前に多くの人が集まるきっかけを作るために、従来型のショッピング機能に加えて医療モールを活用する機運が高まっている。

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