40代の”成功”と”失敗”を分かつもの グローバルエリート特別対談 with 城繁幸(その1)

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:僕たちは「40歳になったらもう再就職できない」と思ってしまうけれど、おやじが弱いかというと、実はそうじゃない。やっぱり世界的に見ても、おやじのほうが強いんです。たとえばヨーロッパでは、30歳未満の若年層の失業率が20%を超えている。スペインや南欧にいたっては50%ぐらいある。結局、職歴のある人のほうが絶対優秀なのです。

ムーギー:新しいことに対応できなくても、既存分野では即戦力ですからね。

:いくら日本のサラリーマンが1社限定に特化したかたちで育成されていても、20年それをやってきた40代のおじさんと、大学を出たばかりで何もしていない22歳の人間とでは、どう考えてもおじさんのほうが優秀でしょう。

ムーギー:既存の仕事の中では、できることは多いですよね。

:じゃあ40歳の人が何を恐れているかを突き詰めると、ほかの会社に行ったら、おそらく今より待遇が落ちるだろうということだけですよ。でもほかの会社でも通用するスキルを身に付けてこなかったんだから、それは仕方ない。

ただ、絶対に飢え死にすることはないと断言できます。たとえば富士通を辞めた人が、NECにも日立にも東芝にも採用されないということは、当然あると思いますよ。だけど、中小企業やIT企業なら、そういう人材が欲しいという会社はたくさんあるわけです。だから、世のおじさんたちに言いたいのは、同じくらいの規模で同じくらいの処遇を求めるのは厳しいけど、そうじゃなければいくらでもチャンスはあるんだから恐れるなということですね。

ムーギー:なるほど。でも今まさにクビになろうとしているおじさんからは、「無責任なことを言うな」と言われそうではありますが。

:でも僕は「あんたいい年こいて、今まで20年間、何をしてきたの」って言いたいですけどね(笑)。

ムーギー:それ、面と向かって言われたら腹立つやろな。だって、この会社に従っていたら大丈夫やと思ってやってきたところに、40代になってリストラ宣告ですよ。そこへ「20年間、何やっていたんだ」と言われたら「おまえの言うことを聞いてきたんや」っちゅう話ですよね。

ただ、誰かに言われたことを素直に従うだけでは、もう立ち行かないということを実感する人が増えてきたからこそ、今の起業ブームにつながっているのかもしれませんね。道は自分で切り開かんことには、人がつくった道を行ったところで行き止まりかもしれへんで、ということですね。

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