増税賛成派でも、今回の消費税増税には反対する理由
私は実は長期的な、“適切な方法での消費税増税”には実は賛成している。一部の金持ちに重税を負わせて、ポピュリズムに走って実質無税の国民が多数を占める国は、有史以来、成功したことはない。特に金持ちが世界中に自由に移動できて、実際日本の企業経営者や富裕層が続々とシンガポールなどに移住している中、税金の負担を狭く深く一部の金持ちに重税を強いていたら、単にお金の無いヒトだけが残る社会になるのが目に見えている。
実際ヨーロッパでも金持ちが集まっているのは税金が極端に低いスイスやリヒテンシュタインであり、同じくアジアでは香港やシンガポールなのだ。
税制を決めることは国のあり方を決めること、とはよく言ったもので、 “広く薄くみんなから財源を調達する消費税”が、“企業や富裕層に世界有数の高い税金を背負わせて海外に脱出される”よりも人に頑張るインセンティブが生まれ、結局みんなが豊かになる道である。ただしこのコラムで議論してきたように消費税増税は“適切な上げ方”がなされるべきで、法人税引き下げや政治家や官に痛みのともなう抜本的なリストラを先送りしながら、そもそも効果のない金額を、非効率が増す形で増税するのには大反対である。
なお、この“消費全増税反対”の理由は、左派政権が言うところの“消費税反対”の理由とは全く異なっていることにご注意いただきたい。むしろ彼らとの主張とはまったく逆で、法人税を引き下げ、累進の所得税最高税率を引き下げ、代わりに消費税を引き上げることこそ、日本がさらに豊かになる道筋であり、政治家は環境認識として“資本と労働者の国際的な流動性が高まっている”意味を理解して税制の議論をしなければならない。
これで私は外交や歴史認識で右を敵に回し、経済政策で左を敵に回し、まさに四面楚歌なわけだが、「東洋経済オンライン」の読者の皆様だけは「消費税増税はその他政策との適切なパッケージで出すべき」という一点に関し、同調いただけなくても気持ちは分かっていただけると信じつつ、杭州の西湖から帰ってきて直後にコラムを書き終える上海の早朝であった。
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