小田急新ダイヤは不動産相場をどう変えるか 実は世田谷区内の利便性がアップ

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発表前から注目を集めていたのは、千代田線直通列車の種別や小田急線内での運転区間がどう変わるかなどだ。

現在すでに使用されている梅ヶ丘―和泉多摩川間の複々線区間では、緩行線(各駅停車)が外側を走る。だが、来春に複々線化が完成する世田谷代田駅と下北沢駅では、地下2層構造になっているトンネルのうち浅いほうが緩行線となり、代々木上原駅の1つ手前である東北沢駅では、今度は急行線が外側、緩行線が内側となる。

1978年、小田急線と千代田線が相互直通運転を開始した際に行われた式典の様子(提供:小田急電鉄株式会社)

代々木上原駅は4線あるうちの外側2本が小田急、内側2本が千代田線となっているため、「複々線化後の千代田線直通は各駅停車が主となるのでは?」とか、これとは別にラッシュ時には多くの優等列車が千代田線直通となり、「新宿駅発着の電車が減る」といった予測もあった。

その新ダイヤの概要がついに発表となった。実は、発表に至るまでの小田急や東京メトロの情報管理は徹底を極めていた。9月の時点で、別件で関係者に取材する機会があったが、「世田谷区などの不動産価格に影響を与える」ということで堅く箝口令が敷かれていたのである。

サプライズがあちこちに!

発表されたダイヤを見ると、極めて意欲的な内容であり、いい意味で予想を裏切るようなサプライズに満ちていた。確かにこれなら「不動産相場に影響を与える」のは間違いないだろうし、これまで情報管理が徹底していたのも「なるほど」と思わせる。

まず、千代田線直通が「各停中心」ということはなかった。朝夕のラッシュ時には、本厚木や海老名始発の通勤準急が千代田線に直通し、「乗り換えなしで都心へ」という利便性を高めている。ラッシュのピーク時には、千代田線直通は1時間に12本も設定されているのだ。その一方で、新宿発着の電車が減ることもなく、各停も優等列車も朝晩のラッシュ時には新宿発着の輸送力を十分に確保している。

さらに驚かされたのは、定着していた「多摩急行」をスパッと廃止しただけでなく、多摩線の優等列車を新宿発着に変えたことだ。

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