現金重視の人が知らないフィンテックの世界 投資・決済・金融システムの姿が変わる

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ところが、ブロックチェーンを使えば、これらの煩わしいコストや手間が不要になる。たとえば、5月15日~8月20日まで実証実験を行った岐阜県高山市周辺の地域限定通貨「さるぼぼコイン(飛騨信用組合、アイリッジ)」、9月には「近鉄ハルカスコイン(近鉄グループホールディングス)」が社会実験を実施。山陰合同銀行や会津大学なども導入実験を行っている。

こうした地域限定の電子マネーの相次ぐ登場の背景には、ブロックチェーン技術によって簡単にシステム導入ができるフィンテックの技術がある。たとえばさるぼぼコインの場合、利用者は飛騨信用組合の窓口で1円=1コインで電子マネーに“両替”し、店舗ではQRコードにスマホをかざすだけで決済ができる。店側も、専用の読み取り機などは一切不要。QRコードを提示しておくだけで、瞬時に決済されて口座におカネが入ってくる。そんなイメージだ。

中国では無人のコンビニが登場していると報道されたが、ブロックチェーン技術を使って金融機関と商店街などが提携すれば、コンビニに限らずスーパーや衣料品店なども導入が可能になる。ひょっとしたら、10年後には「レジ」という言葉が死語になっているかもしれない。

国家の信用という背景がまったくない「ビットコイン」が、なぜ「詐欺だ」「いずれ崩壊する」と言われながらも買われている背景には、こうしたフィンテックの動きがあるからだ。

ビッグデータ、AIによって人間が不要になる?

もう1つ注目されているのが個人向けの資産運用へのフィンテックの活用だ。AI(人工知能)やビッグデータを使って、人間に代わってコンピュータが資産運用や資産防衛を代行してくれるというシステムだ。

たとえば、AIやビッグデータを活用する与信判断では、数秒で与信作業を完了できる技術も登場している。また、最近注目を集めているのが「お釣り」を活用した資産運用。電子決済した時に出る“小銭”のお釣りをプールして自動的に運用してくれるサービスだ。日本でも「トラノコ(トラノテック)」といったフィンテック・ベンチャーがサービスを始めている。

資産マーケットの世界では、ヘッジファンドなどリスクマネーの多くは、コンピュータを使ったアルゴリズム取引が日常化しているが、コンピュータ売買に対応できるのはコンピュータぐらいしかいない、と言われており、フィンテックの導入が急速に進んでいる。

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