現金重視の人が知らないフィンテックの世界

投資・決済・金融システムの姿が変わる

日本では「ロボ・アドバイザー」の名称で知られているが、今後は資産運用のメインストリートとさえ言われている。その内容も、アドバイスだけする「助言型」から「投資一任運用型サービス」までさまざまだ。

上場株式に投資するロボ・アドバイザー「クロエ(エイト証券)」、米国に上場されている7分野の投資信託から選別して投資する「WelthNavi(SBI証券)」などなど、自分の投資戦略に合わせた運用が可能になっている。

AIやビッグデータなどを活用した新しいフィンテック時代の資産運用法と言っていいだろう。

われわれの生活にどんな影響を与えるのか

さて、問題はこうしたフィンテックが、われわれの生活にどんな影響を与えるのかだ。ちょっとオーバーな話をすれば、将来的にはレジがなくなり、資産運用担当者も消える。通貨さえもいまや世界で600種類の仮想通貨が出て来ており、自由に選択できる時代になるかもしれない。電気自動車がガソリン車にとって代わられようとしている変化どころではないのが、フィンテックの可能性と言っていいだろう。

問題は、こうした世界全体の変化の中で、日本政府がどう対応しているかだ。政府も経済産業省などが「第4次産業革命に乗り遅れれば日本はじり貧になる」と警告しているものの、仮想通貨1つをとってもその対応は遅れ気味だ。

金融庁も、改正資金決済法が施行された4月になって仮想通貨の取引所を登録制として認め、この10月からやっと監視体制に入った。さらなる法整備についても、フィンテックの普及を目指して関連法を再編して新法作成に着手した、と最近になってやっと報道された。

金融庁以外でも、企業の会計上の問題について日本公認会計士協会や信託協会などが、いまだに基準のとりまとめに動き始める前の段階だ。日本企業は内部留保を400兆円も抱えながら、フィンテックへ十分な対応をしているとはとても思えない。

現実はもっと先に進んでおり、フィンテック・ベンチャーが銀行以上のサービス提供を簡単に実現させる時代に入っている。米ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は「日本は1万円札を廃止せよ」という提案をして注目されたが、脱税やマネーロンダリングを防ぎ電子決済が増える、というのがその主張だ。

先進国の中で日本ほど現金決済が多い国はない。前述したように、インドでは高額紙幣を廃止したことで急速に電子決済が増えている。それぐらいの大胆な政策をしなければ、日本ではフィンテックの分野でも世界標準から置いて行かれてしまう可能性がある。

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