パワハラ告発者が対策委からパワハラの惨状 上層部からの被害を相談したら事態が深刻化
職場、学校などでしばしば問題になるハラスメント問題。それを防ぐため、ハラスメント対策委員会のような組織が設けられる例も増えている。しかし、ハラスメントを防止するための組織が、意図的に見過ごしたり、ハラスメントの温床にさえなったりする例もあるという。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、職場の上層部からパワハラを受けているという相談者の投稿があった。それによれば、コンプライアンス組織に相談したものの、「上層部の意向を受けて、逆にその組織からハラスメントを受ける状態になりました」とのことだ。
インターネット上のQ&Aサイトにも、加害者と親しい人がハラスメント対策委員会に名を連ねていることに不安を感じているという投稿があった。委員の1人は「(相談者を)クビにしよう」と提案するなど、ハラスメントに加担している人物だという。
このように、対策委員会に頼れない状況では、どのような手段が取れるのか。ハラスメント対策委員会の中に加害者やその親しい人が含まれていたり、委員会に訴えることでさらに被害を受けたりする可能性がある場合、どうすればいいのか。白川秀之弁護士に聞いた。
委員会の調査は原則実名の通報で行われる
このご時世、ハラスメント委員会が設置されている企業も多そうだが、どのような対応がなされるのか。
「ハラスメント等を調査する委員会(以下「委員会」とします)の調査、協議の方法は、会社ごとに異なりますので、一概には言えません。ただ、一般的には被害者側に証拠(メール、録音、日記等)がある場合には、それらを提出することが求められます。
そのような資料がない場合には、最低限パワハラ、セクハラでどのようなことがなされたのかを一覧表などでまとめる事が必要です。委員会では、それらをもとに関係者に対して聴き取りを行い、ハラスメントの事実を認定し、会社に対する処分などの勧告を行います。