JR東日本の新幹線「一番稼げる」のはどこか

独自試算!JR北海道・東日本の営業係数

■JR東日本

JR東日本は、旅客運輸収入と旅客輸送密度に関しては各路線はもちろんのこと、一部の路線では区間ごとに詳細なデータをJR旅客会社のなかで最も早く発表した。おかげでJR西日本、JR四国、JR九州の3社も追随する結果となって喜ばしい限りだ。

試算によって良好な営業係数が得られた路線は新幹線では東北新幹線で42.9、在来線では山手線で53.2と、大方の予想どおりかもしれない。ほかにもJR東日本では上越、北陸とフル規格の両新幹線とも営業係数は40台、在来線では50台は山手線だけではあるものの60台は66.8の根岸線、67.7の中央線、68.8の赤羽線がそれぞれ達成している。

ちなみに、在来線で営業係数が100を下回った路線はいま挙げた4路線のほか12路線で、すべてが東京駅を中心とした半径50km以内の首都交通圏内で営業を実施する路線だ。

JR東日本が2016年度に鉄道事業で計上した営業利益は3479億円である。試算では営業係数が100未満の路線だけで上げた営業利益は6436億円となり、内訳は新幹線で3451億円、在来線で2985億円という結果となった。これら黒字路線の営業係数は65.8。JR東日本の鉄道事業は新幹線と首都交通圏内の在来線とで成立している様子がよくわかる。

もし首都圏の黒字が減ったら…

新幹線の良好な営業係数はすでに北海道新幹線の項で説明したとおりで、平均乗車キロが長い結果生じた多大な旅客人キロの賜物である。一方、首都交通圏内の在来線の営業利益は膨大な輸送人員によるものだ。平均乗車キロは10km程度と短くとも、旅客人キロを大きく引き上げている点は10万人を超える旅客輸送密度からもわかるであろう。

反対に営業係数が100を上回る路線はほぼすべてが首都交通圏以外の路線だといえる。営業係数の悪い順に挙げると、1万4478.3の山田線、1万0994.8の気仙沼線、6897.8の只見線で、試算された営業損失は山田線が127億円、気仙沼線が14億円、只見線が110億円となった。災害で運休となったという事情があるとはいえ、これだけの営業損失を計上した路線が存続できた理由は、やはり営業主体がJR東日本であったからと言うほかない。民営鉄道や第三セクター鉄道では維持はまず不可能だし、国鉄のままであったとしても廃止が濃厚であろう。

国鉄の分割民営化に当たり、営業係数の悪い路線の営業損失を、営業係数の良好な新幹線と首都交通圏内の在来線とで計上した営業利益で補うというモデルのもとJR東日本は発足した。ということは、仮に新幹線や首都交通圏の在来線での営業利益が今後減少傾向に転じるとなると、極端に営業係数の悪い路線の処遇についてJR東日本も検討せざるをえないであろう。

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