JR東日本の新幹線「一番稼げる」のはどこか

独自試算!JR北海道・東日本の営業係数

■JR北海道

苦境が伝えられるJR北海道の営業係数のなかで最も注目されるのは、2016年3月26日に営業を開始した北海道新幹線の数値であろう。同社が公表した同新幹線の103億円という旅客運輸収入と5638人という旅客輸送密度から84.6という営業係数が得られ、同社の路線中、最良の収支に躍り出ている。ちなみに、試算による営業利益は17億円だ。

JR北海道は北海道新幹線の収支について、当初は悲観的な見方を示し、営業損失が生じると予想していた。

いままでの試算の経験から、北海道新幹線程度の旅客輸送密度では営業利益が生じる機会は少ない。だが、北海道新幹線は営業キロではJR北海道全体の4.5%ながら、旅客運輸収入では同社全体の14.2%を占めるという高収益体質が、この営業係数の背景にある。

北海道新幹線の高収益体質は旅客1人当たりの平均乗車キロの多さがもたらしたものだ。旅客輸送密度から得られた旅客人キロは3億0621万人キロで、同社のいう開業後1年間の229万2000人という利用実績で除すると平均乗車キロは133.6kmとなる。北海道新幹線全線となる新青森―新函館北斗間の営業キロは148.8kmであるから、ほぼすべての旅客が全区間を利用していると考えられ、旅客数は少ないながらも利用効率の高さが生み出した賜物といえるであろう。

札幌近郊路線も健闘

もう1つ注目したいのは札幌市近郊の各路線の営業係数だ。札幌駅には函館、千歳・室蘭、札沼(学園都市)の各線・系統の列車が乗り入れているが、このうち函館線の小樽―札幌―岩見沢間、千歳線全線・室蘭線の苫小牧―沼ノ端間の営業係数は100を下回り、札沼線の桑園―北海道医療大学間も110.5とあと一歩で黒字という好調ぶりが試算によって得られた。試算による札幌圏の各路線各区間の営業係数は95.7、営業利益は19億円だ。

JR北海道が2016年度に鉄道事業で計上した営業損失は534億円だ。先述のとおり、北海道新幹線で17億円、札幌圏で19億円の計36億円の営業利益を上げたと仮定すると、その他の各路線各区間で生じた営業損失は合わせて570億円、営業係数は317.5となる。営業キロの多い路線から対象になるという不合理を承知のうえで挙げていくと、営業損失の最も多い路線は札幌圏を除く函館線の104億円、次いで新得―帯広間を除く根室線の96億円、宗谷線で79億円、石北線で71億円と続く。

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