ANAと別れ、JALと手を組んだ「メキシコの翼」 航空連合を飛び越えた広範囲な提携が相次ぐ

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だがこの運賃契約はアエロメヒコ側の要請で、この夏以降適用できなくなっている。同社の加藤欣弥・日本支社長はその理由を、「JALからより魅力的な条件が出てきたため」と話す。それこそが今回のJALとのコードシェアというわけだ。

乗り継ぎの利便性向上に逆風

JALの巻き返しで、事実上アエロメヒコとの契約を失ったANAだが、ほかにも現地のLCC・インテルジェットとも協力関係にある。だが同社はこの10月以降、メキシコシティを発着する主要国内線の運休や減便を計画しており、ANAの乗り継ぎの利便性向上には逆風が吹く。

もっともANAの場合、メキシコシティ以外の都市への渡航は、ヒューストン、ロサンゼルス、シカゴなど、米国からの乗り継ぎのほうが多い。スターアライアンスの仲間である米ユナイテッド航空がメキシコ各地に飛ばす便に乗り継ぐのが便利だからだ。「JALとアエロメヒコのコードシェアによる影響も軽微」と会社側は言う。だが、メキシコシティ線を維持していくには、乗り継ぎ客の取り込みも必須だ。

「アエロメヒコが契約を終了したのは、ANAとの戦略の違いも原因だろう」。旅行会社関係者はそう指摘する。「出張需要を重視するANAは、レジャー客を軽視しすぎた」。ANAとアエロメヒコは双方とも毎日運航であり、メキシコ路線の供給座席数は急激に増えている。出張客だけでなく、観光需要の喚起も欠かせない。旅行会社などと連携してレジャー客の取り込みも重視するアエロメヒコと、ANAの間に溝が生まれたとみられる。

ANAが就航してまだ8カ月ほど。すでに波乱の様相だ。知名度が上がり活性化しつつあるメキシコ路線で、新たな戦いの火蓋が切られた。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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