福島沿岸で2017年に起きている大転換の実態 若い人が集まり、活気が出てきている
堀:そういう方々が新しくサービスを立ち上げたりするのは基本的にクラウドファンディングベースなんですか? それとも、「出資」や「地元の人たちとの連携」などの方法もあるのですか?
藤沢:クラウドファンディングは立ち上げのための1つの仕組みですが、ほかにもいろいろあります。たとえば、一般社団法人MAKOTOさんとも連携をしています。MAKOTOさんは、福島銀行と組んで「福活ファンド」という投資ファンドを設立しました。「1回どこかの地域で事業をやっていたけど、うまくいかなかった人」向けに出資する仕組みです。「福島沿岸で事業をしていた方」もいるし、「ほかの地域で事業をしたけれど、この地域で再開したいという方」もいます。
堀:面白いですね。
藤沢:失敗した人専用。多分、「福活ファンド」の「福」は、「福島」の「福」をかけてると思うんですけど。「福島」も復活であり「本人」も復活と。僕らは、このようなものをご紹介したりしています。
課題は「中の人」と「外の人」とのコミュニケーション
堀:一方で、課題はいかがでしょうか? 小高では、外の人に対してオープンマインドだということでしたが、一方で、地元が割れてしまうというケースも少なくはないのではないでしょうか? 「外からの力」と「内側の力」をうまく融合させていくために、どのようなことを乗り越えないといけないのか。烈さんたちの取り組みでは、その点をどう橋渡ししていますか?
藤沢:そうなんですよね。福島の沿岸も震災前から強いコミュニティがありましたので、そこに加わってくというのはもちろん簡単じゃないと思うんですよね。ましてやあの地域は、賠償の問題も含め、地域の中の人同士でも非常に分断が起き続けた6年間でもありました。だからこそ「外の力」も大事だと思っていて。あの地域に住んでいた方やかかわっていた方は、ある種のしがらみがありますが、これから外から入ろうとする人はしがらみがなくゼロからスタートすることができます。外からの方々がこの地域で何か新しく盛り上げていくという姿自体も、実は現地にもともといた皆さんにもいい刺激になるんじゃないかなと思っています。「中の人」が盛り上がるためにも、「外の人」がうまく入って新しいコミュニティができていくことを期待していますし、そのために僕らも頑張りたいなと思っていますね。
堀:今年の2月に烈さんたちが「FVC」のキックオフイベントとして開催された、福島・富岡町での起業家向けイベント「福島12市町村スタートアップセミナー〜ハマコン in 富岡〜」にお邪魔させていただきました。その時にいいなと思ったのは、ただプレゼンをするだけじゃなくて、地元の皆さんも外から来た皆さんと車座になって課題を話し合うワークショップの時間もあったじゃないですか。聞いていると、結構率直な声もあって。
原発作業員向けのスナックを開設したいという女性に対して、地元でずっと飲食店をやってきたご主人が「いや、それは俺たちの商売とかち合うことになるんじゃないか」とか。一方で、「新しい人が入ってくると、もう私の街じゃないように思う」という地元の女将さんの声もあったりとか。そういうのを融合させる場も一緒に作っているというのは、ポイントなんじゃないかなと思いました。そのあたりの草の根的な取り組みは大事にされているんですか?