東芝メモリ、「ようやく売却」の後に待つ茨道 サムスン電子との競争は甘くない

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今回の買収資金約2兆円のうち、日本勢による資金拠出額は東芝自身の再投資3505億円と、半導体製造部材を手掛けるHOYA<7741.T>の270億円を足した3775億円と全体の18.8%にとどまるが、議決権は同2社で過半を超える資本構成だ。

韓国半導体大手SKハイニックス、アップル<AAPL.O>やデル[DI.UL]など、今回の買収連合に加わった米有力IT企業も、融資や優先株引き受けを通じた資金拠出とすることで議決権は持たない。

当初は、日米韓連合の中核メンバーに名を連ねた産業革新機構と日本政策投資銀の政府系2社は、WDが国際仲裁裁判所にTMCの売却差し止めを申し立てた係争が解決されれば、アップルなどに代わって革新機構と政投銀があらためて出資する方向になっている。

TMCをあくまで日本資本にとどめようという意思が、経産省の影響下にある革新機構関係者からも漏れてくる。2024年までの時限組織である革新機構は、今回の出資金を将来、第三者に売却しなければいけない。同機構関係者は今回の出資分について「一番よいのは将来、東芝に買い取ってもらうこと」と話す。

複合経営、半導体に功罪

「技術ナショナリズム」を押し出す経産省の姿勢に対し、ある東芝幹部は「メモリー事業がどこの国の資本になるといったことは、われわれには関係のないこと」と冷めた反応を示した。

半導体部門の関係者にとって、医療機器事業やメモリーといった優良企業を相次いで手放さざるを得ない東芝本体は、フラッシュメモリー最大手の韓国サムスン電子などとの巨額の設備投資競争の資金を確保する上で、頼りにできる「親」の役割を期待しようもない。

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