JDI、「異色人材の参画」で目指す大改革の中身 伊藤嘉明CMO、「短期間で結果を出していく」

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もちろん、一朝一夕にできるものではありません。ただ、アクア時代には、IoTを活用した新たな可能性を追求しましたが、このときには社内のリソースが少なく、外部企業を巻き込んで製品開発を進め、IoTによるコト作りを行っていたのに対して、JDIを見てみると、アクアのとき以上にリソースがあり、もっと可能性があるということを感じます。

持っている技術はとにかく多い。私からすると15倍、20倍もできることがあると感じます。だから、すごくワクワクしているんです。

インターフェース屋に進化させたい

――たとえば、どんなものがありますか。

一例をあげれば、指紋センサーなどのセンシングを活用することで、これまでにはない「コト」が提案できると思います。IoTは、モノではなく、それがつながって、なにができるかが大切です。ディスプレイ屋がディスプレイを作るだけでは、やはりディスプレイという製品にしかなりません。しかし、ディスプレイに、センシング技術を組み合わせると、ディスプレイ屋が、インターフェース屋に進化するのです。

インターフェースの切り口を持つと提案力が広がります。ここでは、コンソーシアムを作って、大手企業からベンチャー企業までの幅広い企業を巻き込みながら、さまざまな応用を模索することもできます。むしろ、ここではベンチャー企業のスピード感を生かしたほうがいいと思っているくらいです。日本の覚醒に向けて、「この指止まれ」という仕組みを作ることで、アイデアを持ってきてもらい、一緒に、コトづくりを加速したいと考えています。

単に製品を作り上げるということだけでなく、サービスといった領域にもJDIは踏み出すこともありだと思っています。10月1日付けで、モバイルカンパニー、車載インダストリカンパニー、ディスプレイソリューションズカンパニーの3つのカンパニー体制としますが、このカンパニーに共通しているのは、いずれも部品屋のカンパニーであるということです。

私は、これ以外のビジネスが出てこなくてはいけないと思っていますし、次のステップでは、ソリューションカンパニーのような部品屋とは違う新たなカンパニーが、JDIの中に生まれてもいいのではないかと思っています。そのためのリソースが社内に少ないのであれば、外部の企業と組んでもいいですし、主導権は持たなくてもいい。そこに、JDIの技術、製品を提供することで、コト作りができると思っています。

――東入來会長兼CEOが打ち出した中期経営計画では、ノンモバイル事業の拡大、車載事業の成長、産業機器への取り組み強化、そして新事業の創出を打ち出しました。コト作りはこれに連動したものになりますか。

これはいま持っている技術や事業を対象にしたのものであり、コト作りは、これとは別の話になります。JDIがビジネスモデルを変えていくには、サービス提供、ソリューション提供といった新たな取り組みが必要です。私の役割は「創造」する部分。そこに全力投球していくことになります。

大河原 克行 ジャーナリスト

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おおかわら かつゆき

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。IT産業を中心に幅広く取材、執筆している。現在、ZDNetの「大河原克行のエンプラ徒然」(朝日インタラクティブ)、PC Watchの「パソコン業界東奔西走」(Impress Watch)、クラウドWatch、家電Watch(以上、Impress Watch)、ASCII.jp (KADOKAWA)、日経トレンディネット(日経BP社)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)、「図解 ビッグデータ早わかり 」(中経出版)など。

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