「定年後に家を買う」は意外と賢明な選択肢だ

持ち家派vs賃貸派論争には第3の道がある

先ほどの例でいえば、3000万円の家賃予算確保は無理だが、なんとか1500万円は貯めてこれで老後に住むだけの家を一括で買う(実際には諸経費も生じるが)、という選択を行えれば、老後の家賃予算が不確定という不安からは解消されることになります。

この場合、購入物件の予算については低く抑える方法を考えたいところです。まず、新築は避け、中古住宅を探すほうが予算は下げられます。かといって、築30年の中古物件に35年住むことは難しく、手入れのよい築浅物件を選ぶことが求められます。

購入時期は、定年後、さらに「子の独立後」が好ましいタイミングです。こうすることで、部屋の必要面積が少なくてすみ、予算を大きく下げられます。100平米で5部屋が必須であるか、60平米の広めの1LDKがあれば十分とするかで、予算は大きく変わってくるでしょう。

退職後は通勤の必要がないので、予算に応じて居住エリアを柔軟に変えられるのも大きなメリットです。東京23区内を希望としていたが、思ったより値下がりしていなかったので、さいたま市とする、あるいは川越まで行こうか、などと計画を修正していくことで「予算に合った終(つい)の住処(すみか)」と出合うことができるかもしれません。

今後、人口減少社会に突入し、空き家が増加して「住宅デフレ時代」となることは十分にありえます。ここで大きな値崩れが生じれば、購入予算はさらに抑えることができるでしょう。

購入資金の確保が現役時代の課題

ただ、その購入資金をどう確保するかは、現役時代の課題となります。購入時期を定年時まで遅らせるということは、その分ローンが設定できない(返済する期間を設定できない)ことを意味します。基本的には、ほぼ全額を一括払いする必要があります。

購入予算確保の最大のカギは、現役時代の賃貸暮らしの家賃水準の設定にあります。賃貸予算を、出してもいい予算の上限より低くすることで、毎月の貯蓄余力を確保しておくしか、貯蓄原資をひねり出す方法はありません。

年収が増えれば高い家賃の広い部屋に住み替えたくなるのが一般的ですが、それをぐっとこらえて、年収が上がったら、上昇分を定年時の一括購入資金の上積みに回すくらいのマネープランを意識しておきたいところです。できることならば、引っ越しを行うときには予算アップではなく、据え置きないし引き下げを目指してみましょう。子どもが社会人になったら、一部屋減らして家賃を下げるような引っ越しは効果的だし、居住エリアを変えるチャレンジもときには必要です。

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