「新築優遇」主義が中古不動産流通を破壊する

「安心R住宅」制度から見える根本的な勘違い

人口減少が加速するわが国では、新築が1軒造られれば1軒以上の空き家が生まれる状態だが…(撮影:吉野純治)

「安心R住宅」で中古住宅流通市場が活性化?

国が「安心R住宅」という制度を新設する方針であることをご存じだろうか。中古住宅流通市場の活性化を狙うためだ。不動産については「新築至上主義」の考え方が変わらない日本では、中古住宅にはつねにマイナスイメージがつきまとう。不安、汚い、わからない……。

「安心R住宅」制度はこうした感情を払拭し、消費者が安心して購入するためのもの、という建前だ。しかし、もくろみどおりに運ぶ可能性はほとんどないと筆者は考えている。結論を言えば、この制度はほとんど普及せず、中古住宅流通市場が活性化することもないだろう。

中古住宅流通市場の活性化を目的としたとき、誰もが「一定の情報開示をすればそれが可能になるだろう」と考える。国は「安心R住宅」といった国のお墨付きの条件として以下の3点を挙げている。

第1に、売却前にインスペクション(建物状況調査)を行い、雨漏りや構造上の不具合がないことを確認し、購入者の要望があれば、建物について一定の補償を受けられる保険に加入できるとしている。しかし、筆者が創業したさくら事務所の現場での実感では、保険に加入できる中古住宅は市場の半分以下で、大半は耐震改修などを行わないと保険適用できない。

次ページ新築住宅建設を促進しておきながら…
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • 買わない生活
  • 最新の週刊東洋経済
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT