ケンコーマヨが新工場を次々に建設するワケ 共働き増加で「中食市場」が拡大している
同社の営業・開発・生産等は分野別に18のチームを組み、営業を通じて吸い上げられたニーズを商品開発やメニュー提案に反映させている。営業、開発、生産の担当事業部間で綿密な情報共有を行うことにより、きめ細かな売り込みが実現できているのだ。
今後はさらに、ロングライフサラダや惣菜を武器に、中食市場における商品拡大を目指す。生産拡大に対応すべく、2018年4月にはフレッシュ惣菜やロングライフサラダを扱う新工場を竣工予定だ。そのほか、2019年3月までに3工場について増築や建設が予定されている。
「食品スーパーの惣菜売場が広がってきていることを見ても、今後ますます中食が伸びていくことが予想されます。他業種からの参入も増え、競争が激しくなっています」(京極氏)
消費者との接点を今後どれだけ広げていけるか
課題といえるのが、業務用メーカーだけに、消費者との接点が小さくブランドの知名度も低いことだ。そこで同社では近年、デパ地下にオリジナルの惣菜ブランド「いもたまや」「WaSaRa」、イートイン店舗「自遊庵」を出店するなどし、ブランド強化、消費者ニーズ取り込みに力を入れている。「ドレッシングの日」制定もそうした戦略の一環として行われたもので、昨年は一般消費者を招いてのイベントなども開催したようだ。
また、健康志向を反映した商品の開発にも積極的だ。その1つが、ミドリムシを取り入れたドレッシングやサラダなどの“ユーグレナ商品”である。ミドリムシは藻類の一種だが、アミノ酸類、ビタミン・ミネラル、DHAなどの栄養素が豊富で、健康食材として最近注目されている。ただし同社では2014年7月にユーグレナドレッシングを発売したものの、あまり売り上げが伸びず、現在は販売を中止している。業務用であるため、ユーグレナによる健康効果が消費者に伝わりにくかったのが敗因だろう。
現在期待をかけているのが、“低糖類、低カロリー、減塩”を実現したドレッシング『トリプルバランス』だ。2016年10月に発売し、6種類で展開している。なお、ダイエット法としてよく知られるようになったローカーボ(低糖質)とは、炭水化物や糖分などを減らした食生活。「糖質」と「糖類」は厳密には違う意味なので、注意しなければならない。「糖質」とは、糖類・糖アルコール・甘味料・多糖類をすべて合わせたもの。そのうちの「糖類」とは、ブドウ糖、果糖、砂糖、乳糖などだ。
「ドレッシングでは、脂質、糖類、塩分を抑えると、どうしてもコクが出ないので、おいしく作るのが難しい。トリプルバランスはヘルシーでおいしいということで、他社にはない商品。幅広く提案できると期待しています」(京極氏)
たとえば「ノンオイルたまねぎ」では、1食分の15グラム当たり、糖質は0.6グラム、うち糖類は0.2グラムと低く抑えられている。試食してみたところ、さすがに、一般的なドレッシングに比べれば薄味だ。しかし、女性や健康志向の高い人にとって、ドレッシングのカロリーや糖分、塩分は非常に気になるところ。一般消費者向けに市販されれば間違いなく売れるのではないだろうか。また、ファミリーレストランをはじめとして、サラダバーやメニュー表でカロリーや糖質の表示をしている飲食店も多い。これらを通じて商品の特徴が消費者にうまく伝われば、ヒットする可能性もある。やはり、消費者との接点を今後どれだけ広げていけるかがカギとなりそうだ。
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