日経平均は「アベノミクス最高値」を抜けるか さすがに「ここからの急騰」は難しいかも
ここで初めてバブル経済が完全崩壊したことを人々は認識し、慌てて大蔵省(当時)は株価てこ入れ策を出す。しかし、「時すでに遅し」で、阿鼻叫喚の崩壊地獄となる。この日本の「平成資産バブル崩壊」時のドタバタ劇の学習が、先手先手と繰り出す米国の金融政策に活かされているといわれている。従って、以前の当欄でも書いたが、米国株の天井圏は「成熟圏」と名を変えて、年単位で続くと見ている。
北朝鮮情勢に「耐性」も、今週は足踏みか
さて、ノーマークだった先週の日銀金融政策決定会合に若干のサプライズがあった。予想通りの現状維持だが、金融調節方針の維持に片岡剛士審議委員が現在の緩和は「不十分」として反対したことだ。
これによって一部に根強くあった「テーパリング(量的緩和縮小)論」は遮断された。これは「安倍晋三内閣人事」の勝利だろう。おそらく日銀の黒田東彦総裁も、再任されると思われる。
直前のドル円レートはチャートの重要ポイントであった4月の1ドル=108円10銭台、7月の日銀短観における大企業製造業想定レート108円31銭を一時的に越え107円台となり、さらに急速に円高が進む可能性もあった。だが、この日米の正反対の金融政策決定もあり、今や「セーフティーゾーン」の112円前後となっている。
先般発表されたOECD(経済協力開発機構)の世界経済成長見通しは、前回6月の調査と同じく2017年3.5%、2018年3.7%と安定している。その中で、日欧の見通しは引き上げられているうえに、この円安基調への転換で、10月以降に出て来る企業の今期上期決算と、下期及び通期の数字も「安泰」となりそうだ。もし解散選挙中に日経平均が2015年の高値2万0868円(終値ベース)を抜けば、それは「アベノミクスの高値更新」を意味する。「大義なき選挙」と言われ戦いづらい安倍政権としては、強力な支援材料となる。
ただ、市場には「耐性」が出来たとは言え、エスカレートする米国と北朝鮮の危険な応酬を無視するわけには行きそうもない。ここからの一気の高値更新はそう簡単ではなさそうだ。しかし、それは過熱感を冷やし、ここでの足踏みは良薬となる。ここで、当面のカギを握るのは銀行株だろう。テーパリング論は消えたが、米国の金利の趨勢(年内1回、来年3回の利上げ予想)を受けて日本の金利がどう動くか。個人投資家は、銀行株の動きを注意しながら個別材料株で余裕を持って楽しめば良いと思っている。
今週の日経平均予想レンジは、2万円〜2万0500円とする。
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