「安倍政治」継続か否か、衆院選の勝敗ライン 自民が「過半数」「半数割れ」ならどうなる?

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20日に北朝鮮に対する圧力強化へ向け国連総会で演説、21日にトランプ大統領と会談、日米韓首脳会談、22日に帰国した。25日の解散会見が注目される(写真:共同)

秋分の日が過ぎた永田町は10.22衆院選に向けて選挙モードが急加速している。第2次安倍政権発足からすでに4年9カ月。安倍晋三首相は国政選挙3連続圧勝で1強の名を欲しいままにしてきた。今回の衆院選は2018年9月の自民党総裁選での3選による史上最長政権と悲願の憲法改正の実現も賭けた「最後の大勝負」(側近)となる。

ただ、異例の臨時国会冒頭解散では、野党だけでなく国民にも「森友・加計学園の疑惑隠し」との不信感を広げる。「政略的には今しかない」(自民幹部)という抜き打ち解散だが「結果的に首相の計算違い」(志位和夫共産党委員長)ともなりかねない。

注目されるのが「首相の勝敗ライン」だ。選挙戦での風の吹き方次第で「3選」と「改憲」につながる圧勝となる自民絶対安定多数維持から、退陣危機も招く自民半数割れまで、予測の振れ幅は極めて大きい。文字通り「首相の命運」がかかる衆院選となる。

最大の争点は「安倍政治」

解散にはネーミングがつきものだ。今回のような審議抜きの「臨時国会召集日解散」は1966年の「黒い霧解散」(佐藤栄作首相)、1986年の「死んだふり解散」(中曽根康弘首相)、1996年の「小選挙区解散」(橋本龍太郎首相)と過去3回ある。いずれも自民党が勝利を収め、首相の政権基盤強化つながった。ただ、今回は「モリカケ隠し解散」との声が広がるように、選挙戦で首相に逆風が吹く可能性も高く、自民党内でも「負けを最小限にとどめる戦い」(選対関係者)との見方が支配的だ。

選挙戦で有権者の投票行動を左右するのは選挙の「大義名分」と「争点」設定だ。北朝鮮危機が緊迫の度を強める中、首相は「危機に対応するための体制固め」をアピールするとみられるが、野党側はすでに「疑惑隠しのための政治空白は許されない」(前原誠司民進党代表)と批判している。政策的にはアベノミクスや消費増税など外交から内政まで是非が問われる重要課題が多いが、今回の選挙では「安倍政治」が最大の争点になりそうだ。

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