「成長が止まった親」の話は子どもに届かない 親が思うより、子どもはずっと大人だ

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ではどのようなコミュニケーションを取ればいいのか、その例を挙げてみましょう。

(×)「勉強はどうなってるの?」
(×)「もうじきテストだよね」
(×)「最近やる気がないようね」
(×)「塾ではちゃんとやってるの?」

これらは、いずれもアウトです。親としては心配して言っているのでしょうが、言われる側の立場からすれば、いらぬ干渉なのです

「今、しっかりやっていないのに干渉するなとは何事か!」と思われるかもしれませんが、それが現実です。このように問われて気持ちよく答えるはずはありません。では、どのような声がけをしてコミュニケーションを取っていくのがいいかといえば、たとえば次のようなものです。

(○)「今日は雨が降るそうだね」
(○)「そういえば今日、面白い人に会ってね、○○だったのよ」
(○)「△ちゃん(子どもの名前)が好きな○○さんが今日、テレビでこんなこと言ってたよ」
(○)「最近は随分と事件が多いね〜。学校の行き帰り、変わったことなかった?」

勉強についての話題は事態を悪化させるだけ

『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

これらは、どうでもいい話題です。特に話をしなくてもいい内容ばかりです。しかし、このような雑談めいたトピックのほうが、話がしやすいのです。

学校の話題でもいいのですが、小宮山さんのような状況ですと、子どもは親から勉強に干渉されることを極度に嫌がりますので、話題にしないほうがいいでしょう。

通常はコミュニケーションのテーマとして「勉強」を使ってしまうことが多いため、大失敗します。先ほども言いましたが、親は教師ではないのですから。勉強についてのコミュニケーションは事態を悪化させるだけになるので、子どもから話をしてくるまで親からは、テーマとして持ち出さないほうが無難です。

その代わりに、共通の話題である雑談をしましょう。先ほど出した例のように、雑談なのでテーマは何でもいいのです。内容の高度さは関係ありません。天気、街で会った知人の話、テレビの話題、ニュースの話題など、何でも構いません。できれば、子どもの関心があるテーマや楽しく面白い話題であれば、さらに親子の関係は向上していくことでしょう。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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