フェリーは豪華クルーズ列車より安くて広い 「四季島」のひのき風呂よりゆったりの浴場も

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フェリー「ゆうかり」は早朝5時台に秋田港に到着。用事には十分間に合った(筆者撮影)

寝台列車の代替としてフェリーが使えそうなルートを、時刻表でいくつか調べてみた。東京―札幌間の場合、東京―八戸間で東北新幹線、八戸―苫小牧間で川崎近海汽船「シルバーエイト」、苫小牧―札幌間で高速バスを利用。全体のスケジュールは東京17時20分発~札幌8時38分着で、このうち「シルバーエイト」は八戸港22時00分発―苫小牧西港6時00分着になる。

かつて運行されていた寝台特急「北斗星」は上野19時台~札幌11時台。東北新幹線と夜行急行「はまなす」の組み合わせだと、東京18時台~札幌6時台だった。「新幹線+フェリー」は東京の発車時刻が1~2時間早く、一方で札幌着は「はまなす」に比べ2時間ほど遅い。しかし「北斗星」よりはかなり早く到着でき、現地での滞在時間を増やせる。

瀬戸内海には数多くのフェリーが

関西―九州に目を向けると、瀬戸内海を夜間に通り抜けるフェリーが多数運航されている。フェリーさんふらわあが運航している神戸―大分間のフェリーを軸にプランを練ったところ、大阪駅を17時30分ころに出発して大分駅には7時少し前に到着できるようだ。

かつて運行されていた寝台特急「彗星」は、大阪発が21時台、大分着が7時少し前。やはり大阪の出発時間帯はフェリーが不利だが、大分着は「彗星」とほぼ同じだ。朝イチの飛行機や山陽新幹線+在来線特急よりは3時間ほど早く現地に到着できる。所定運賃・料金も約1万2000円で、新幹線+在来線特急より約4000円安い。

運航時間だけをみれば、寝台列車や夜行列車、夜行バスの完全な代替にはならない。とはいえ、そこそこの価格で快適な就寝環境を得られるフェリーは、やはり魅力的だ。普段はフェリーなど眼中にない方も、たまには仕事や観光で使ってみてはいかがだろうか。

草町 義和 鉄道プレスネット 記者

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くさまち よしかず / Yoshikazu Kusamachi

1969年新潟県南魚沼市生まれ。鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』を運営する鉄道プレスネットワーク所属。鉄道誌『鉄道ファン』『鉄道ジャーナル』などでも記事を執筆。著書に『鉄道計画は変わる。』など。

 

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