ハリケーン次々に襲来、原油価格はどうなる 「ハービー」の次は「イルマ」が米国東海岸へ
一方、米国内のシェールオイルの生産状況には注意が必要で、潜在的な生産増の圧力は引き続き強いようだ。最近のシェールオイルの生産状況をみると、昨年末に落ち込んでいた生産量は着実に回復中だ。リグ(掘削装置)の稼働数も堅調そのものであり、これが潜在的な生産増の連想につながっている。
さらに、DUC(水圧破砕開始前の掘削済み井戸)の推移をみると、相当のペースで増加している。これは、原油価格が上昇した際に生産が開始される可能性が高いことを示しており、原油価格の潜在的な抑制要因といえる。
一方で、注目したいのは、リグ当たりの生産量の低下である。これが今年の3月でピークアウトし、徐々に低下している。これまでは生産効率を上げながら生産量を増加させてきたが、現状ではリグの稼働数自体を増やす必要があるといえる。一部には、原油安を背景に、生産コストの低い油田での生産を優先させているとの見方もある。そうであれば、今後はコストの高い油田での生産を強いられる可能性もある。そのあたりは今後のデータで確認するしかないが、このようにシェールオイルを取り巻く環境には徐々に変化もみられる。
いまの市場では、これらの材料を全体的にはネガティブに捉えており、それが原油価格の抑制につながっている。今年から来年にかけてのOPEC(石油輸出国機構)以外の産油国の産油量は、世界の石油需要の伸びに匹敵する見通しである。
結局、カギ握るOPEC加盟国の減産
こうなると、需給バランスの改善には、OPEC加盟国の一段の減産が不可欠だ。原油価格が高値圏を維持していたときには、OPECの産油量は日量3000万バレルから3100万バレル程度であった。それがいまはそれを200万バレルから300万バレル程度上回っている。
これでは、原油価格が上がらないのも無理はない。原油価格の一段の上昇には、OPECによる一段と踏み込んだ減産が不可欠であろう。それがなければ、原油価格の上昇は見込みづらい。その意味でも、OPECが現状の原油価格を甘んじて受け入れるのか、あるいは一段の上昇を目論むのか、今後の動向を見守ることになるのだが、それまで原油価格の低迷は続くと考えざるを得ない。筆者は現在の原油価格は継続不能な安値であると理解しているが、市場がそうした流れになるには、需給の引き締まりを確認することが必要だ。
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