ハリケーン次々に襲来、原油価格はどうなる 「ハービー」の次は「イルマ」が米国東海岸へ

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米国の石油消費は世界一だが、その量は日量約2000万バレルにおよぶ。そのうち、約半分がガソリンである。今回は、被害状況を確認するのになお時間が掛かり、物資の運搬などが円滑にいかない可能性がある。その場合には、燃油需要は増えず、むしろ在庫が積み上がる可能性もある。

さらに、パイプラインの早期稼働が可能かどうかも大きな問題となってくる。今回ハリケーンに襲われたメキシコ湾岸は、石油市場にとってきわめて重要な地域だ。原油生産に加え、米国領土内あるいは中南米・欧州などへの輸出ハブの機能を果たしている。

カトリーナ襲来時でも、原油価格の急騰は一時的

過去のハリケーンでは、メキシコ湾沿岸の処理施設の復旧には数カ月を要した。特に2005年8月にハリケーン「カトリーナ」が南部ニューオーリンズに大きな被害をもたらした際には、製油所を復旧し、生産を再開するまでに18週間かかった。その際、IEA加盟国は6000万バレルの備蓄を放出している。今回の被害はそこまでではないとの指摘もあるが、今回のハリケーン「ハービー」の激しさと大規模洪水による被害を考慮すれば、今回は回復に想定以上に時間がかかる可能性もある。ちなみに、「カトリーナ」が襲来した際、ガソリン先物と原油価格は急騰したが、その動きは一時的であった。

とはいえ、現在の石油市場の動きが一時的に終わると考えるのは、短絡的過ぎるかもしれない。というのも、米国のガソリン生産能力のうち、25%程度がヒューストン周辺に集中しているからだ。さらに、昨年の実績では、全米のガソリン生産の14%程度の量がヒューストンやメキシコ湾沿岸地域で行われていた。

そのため、今後も稼働停止が続けば、ガソリンの供給が細り、その後のガソリン在庫の減少傾向が顕著になれば、少なからず原油にも相応の影響が出てこよう。上述のように、原油生産も日量ベースで30万バレル程度が失われているという事実がある。いずれこれを材料視する動きが出てきてもおかしくない。

また、製油所が回復すれば、急激に原油需要が増加することになる。今回のハリケーンを材料とした原油相場の下げが限定的であれば、製油所の回復時には急騰する可能性もありそうだ。直近まで米国内の原油在庫は、旺盛な製油所の原油需要により、大幅な減少が続いていた。この傾向が変わらなければ、そのような動きになってもおかしくない。

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