ネットを蝕む「人ではない者」の大量アクセス

迷惑ボットを放置するのは社会全体のムダだ

現在は、もっとアドフラウドによるトラフィックは増えており、海外市場では、すべての広告配信の20%がアドフラウドだともいわれている。日本市場は、海外と比較して、それほど規模は大きくないが、それでも5%前後がアドフラウドとして認定されるのではないかと推測されている。

もちろん、これは決して少ない数字ではない。電通の調査によれば、日本のインターネット広告の市場規模は約1兆3100億円。うち媒体費と呼ばれるものが1兆0378億円となっている。仮に日本のインターネット広告市場の5%がアドフラウドの影響を受けていると仮定した場合、その金額は500億円以上にも上る計算だ。

日本よりも市場の大きい海外では、そのインパクトが、もっと深刻なものとなっている。今年、全米広告主協会が同協会の会員企業を対象に実施した調査によれば、米国インターネット広告市場におけるアドフラウドによる損失額は、2016年で約72億ドル(約7900億円)に上ると推測されている。米国の広告業界は、これを「業界全体の課題」であると認識しており、全米広告主協会やアドテクノロジー企業が一枚岩となって対策を講じている。業界が一丸となって健全化に向けて努力しなければ、一企業が損失を被るだけではなく、インターネット広告ビジネスそのものが崩壊すると懸念されているからだ。

アドフラウド対策が効果を見せ始めている

そして、その対策は、徐々に効果を見せ始めており、2017年のアドフラウドによる損失額は、前年の約72億ドルに対して、65億ドル(約7130億円)にまで下がるのではないかといわれている。また全米広告主協会は「もし米国内のすべての企業がアドフラウド対策を施していたら、その損失規模は33億ドル(約3620億円)にまで下がる」という仮説を併せて発表している。

ウェブサイトにアクセスしてくるのは、必ずしも人間だけではない。インターネット上のビジネスにおいて、企業は今、人間以外のアクセスに対して、どう向き合うかも問われ始めている。適切な対策を施すということは、自社の利益を守るためだけではなく、自分たちがビジネスを展開している業界や市場そのものを健全な状態に保つためにも必要なことなのだ。

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