鳥貴族の全品値上げ、背景に「改正酒税法」も 居酒屋の悩みは人件費高騰だけではない

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関東圏を中心に展開する串カツ田中はすでに7月、ビールを390円から399円に、ハイボールを350円から370円に値上げした。

「いきなり!ステーキ」や「ペッパーランチ」を運営するペッパーフードサービスでは、酒類の中でも特にビールの仕入れ価格が1割以上上昇したという。それを受けて8月から9月にかけてビールの値段を480円から500円に20円値上げする。

競争の厳しい居酒屋にとって、値上げの判断はそう簡単ではない。「響」や「魚盛」を都市部で展開するダイナックの担当者は、「確かに仕入れ価格は1割程度上がっているが、単純な値上げでは消費者に説明がつかない」と話す。具体的な値上げ方法を現在検討中という。

仕入れ値上昇の影響を吸収しようと、サワーやハイボールなど比較的利幅の大きい酒類の拡販や、新規メニュー開発などに取り組む居酒屋は多い。しかし、それだけでカバーするのは難しくなってきた。

「鳥貴族の対応を注視していた」

実は「鳥貴族が今回の仕入れ価格上昇にどう対応するのかを注視していた同業が多かった」(都内居酒屋チェーンのオーナー)。

鳥貴族は、酒類も一律280円で提供してきた。ほかのビールに比べ高く販売されることの多いサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」も280円。それをどこまで維持するのか。鳥貴族は低価格を武器に消費者の支持を得てきただけに、その動向は業界の注目の的だった。

「どこが先に動く(値上げする)か、様子見していた居酒屋が多い」(都内酒販店店主)。その中で今回、鳥貴族が値上げに踏み切ったことで、動きやすくなると感じる競合チェーンは多いはずだ。

今後、業界に値上げの動きが広がってきそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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