清水建設が開発、津波避難ビルの威力 短工期、低コストで南海トラフ地震にも対応へ

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鉄骨構造物で取り囲み避難場所を設置

こういった悩みに応えるのが、清水建設が開発した「フレーム・シェルター」だ。ありていに言えば、建物の周りを頑丈な鉄骨構造物で取り囲み、いちばん上に避難場所を置くというもの。建物内からも建物外からも避難場所に上がることができ、建物が閉鎖されているときでも逃げ込むことができる。

土台はコンクリートの基礎杭の上にコンクリートスラブを敷いて鉄骨をボルトで止めつける。転倒や滑動(横すべり)を防ぐためだ。既存建物の基礎部分には、水流で基礎が削られるのを防ぐための土間コンクリートを敷き詰める。鉄骨構造の内側に階段を設置して避難経路を確保するとともに、津波によって流されてきた漂流物による衝撃を緩和し建物そのものを守る。設置スペースは幅4メートルが建物の左右2カ所にとれればよく、都市部でスペースがない場合でもいくつかのバリエーションで対応が可能だ。

建て替えに比べて工期は4割減、費用は半分ですむ。建物の外側の工事なので、使用しながらの工事が可能な点もメリットだろう。

清水建設が昨年秋に発表したアーチ・シェルター

清水建設はもともと耐震技術の研究に定評があるが、津波対策建築物としては2012年11月に津波BCPビル、「アーチ・シェルター」を発表している。20メートルの津波に耐えるアーチ構造の免震ビルで、BCPと同時に避難所の役割も果たせるものを目指している。こちらはすでに具体的な引き合いも来ているというが、フレーム・シェルターについても、年内に10件以上の受注を目指している。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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