求められているのは、ユーロ圏諸国における新たな中央評議会である。フランス、ドイツ両国の財務相、ECBのマリオ・ドラギ総裁、ヴィトル・コンスタンシオ副総裁、ジャン=クロード・ユンケル委員長を含む欧州委員会の代表者から成る組織だ。これによって、経済刺激策、構造改革プログラム、今後の利上げをめぐるユーロ圏諸国、ECB、欧州委員会の間の調整は大幅に改善するだろう。
究極的には、中央評議会は欧州共通の財務省の設立および財政統合の土台となる可能性をも秘めている。
欧州にはハミルトンのような人物が必要だ
ジャン=クロード・トリシェECB前総裁が長らく主張してきたように、ユーロ圏は財政統合なくしては機能しえない。だが、欧州が大きく駒を進めるには、米国の初代財務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトンのような人物が必要だ。
財政統合は、単に債務の負担を分け合うだけの仕組みにとどまるものではない。米国がハミルトンの改革によって州政府から連邦政府へと権力をシフトさせたように、ユーロ圏諸国も国家主権を一定程度は明け渡す必要があるだろう。
つまるところ、ユーロ圏の構造問題を解決するには、財政統合以外に実行可能な解決策はないのだ。安定・成長協定は次善の策にすぎず、それでは欧州は危機を抜け出すことはできないだろう。
歴史を見れば明らかだが、統一通貨・ユーロを実現するためには、欧州の政策決定者はまず、欧州通貨制度を通じて各国の政策を調整する必要があった。ユーロ圏における新たな中央評議会は、財政統合という今日の課題に向けて、同様の成果をもたらす仕組みとなりうる。
では欧州にとってのハミルトンとなるのは誰だろうか。目下、欧州で最も際立ったリーダーが、財政統合とユーロ圏共通の財務相ポストの創設を主張し、一身に注目を浴びている、フランスのエマニュエル・マクロン大統領である。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら