なんと、利用者がポイントを利用することはできない。その代わり、5000ポイントごとに鹿島神宮に寄付される仕組みだ。ポイント有効期限切れの場合も、自動的に鹿島神宮に寄付される(5000ポイントでの寄付と有効期限切れでの寄付の違いは後ほど紹介する)。すなわち、カード保有者へのポイント還元率としてはゼロ%だ。
年会費・ポイントは「1700年のお祭り」開催費用に
実は、年会費と貯まったポイントは、鹿島神宮に寄付されることになる。鹿島神宮の祭祀、「御船祭(みふねまつり)」の実施、国宝に指定されている直刀、「黒漆平文大刀拵」はじめ、同神宮の貴重な文化財を保護するための財源として使われる。
御船祭とは、1700年の歴史を持つと伝えられている同神宮最大のお祭りで、12年ごとに行われる。約3000人が大行列し、約120艘の船団が対岸の香取神宮(千葉県香取市)を行き交う壮大なもの。
直近では2014年に行われ、その費用は総額20億円にまで膨らんだ。これまでは、日々の積み立てや地元企業などからの寄付などを募りつつ費用を捻出していたものの、今後も同祭を継続していくためには、さらなる寄付の拡大は欠かせない。こうして、今回の神社初クレジットカード発行に至ったというわけだ。
すなわち、このクレジットカードを保有・使用すれば、鹿島神宮の伝統的な行事や文化財の保護・継承に貢献することができる。
なお、鹿島神宮カードの会員数は非公表だが、その3割が経営者や会社役員とのこと(鹿島神宮担当者)。鹿島神宮は御祭神が国作りに尽力した神様であること、源頼朝・徳川家康をはじめとする時代のリーダー・政をつかさどった人物に崇敬されてきたことなどから、リーダーシップが求められる経営者がご利益を期待して真っ先に申し込んでいるのだろう。
もっとも、神社好きにはたまらない特典もきちんと用意されている。第一に、同カードはすべて発送前にお祓いを済ませたもので、何ともご利益がありそうだ。
さらに、5000ポイント貯まって寄付されると、鹿島神宮から返礼品が送られてくる(有効期限切れの場合、返礼品はない)。送られてくるのは、境内にある杉から作られた銘々皿(3枚)この銘々皿で和菓子をいただくと鹿島神宮の”パワー(気)”もいただける、かもしれない。また、利用2年目以降は年会費を支払うと、玄関などに飾る「門札」が送られる予定だ。
また、通常ではできない体験をすることもできる。一般公開されていない樹齢約1300年御神木を案内してもらうことが可能なのだ。筆者も、東京からバスで片道2時間かけて鹿島神宮へ行き、実際に体験してみたので紹介しよう。
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