川上量生「中国のネット管理政策は正しい」 機械が人間を支配する時代は来るのか

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――だとすると、AIの発展は人間の生活に何をもたらすのでしょうか。

間違いなく言えるのは、もっと人間の幸福度が高い世界が来るということ。幸福度というKPIを立てて、それを上げることを目標に作業する。AIはそういうのが得意中の得意だ。そんなのはディストピアだ、と言う人もいるだろうが。

SNSで人間が付き合う相手も、間違いなくAIになる。人間は人間同士のコミュニケーションを放棄して、自分の友達、パートナーとしてAIを選択するようになる。だって絶対、人間の友達よりもAIのほうが性格いいもん(笑)。自分のダメな部分も全部受け入れてくれるからね。それは当人にとって、間違いなく幸せ。

星新一のショートショートに、みんなが肩にオウム型ロボットを乗せている世界を描いたものがある。人間は誰かと会話するときに、目の前の相手ではなく、オウムに向かってしゃべる。セールスマンが「この商品を買え」と言うと、オウムが相手方のオウムに向かって、優しく、わかりやすいセールストークをする。一方、客のほうが「いらん」と言うと、オウムが丁重に断ってくれる、というものだ。これは高度なコンピュータのない時代に書かれた話ですが、AIが発達する未来予測として、とても正しい指摘をしていると思う。

未来予測をするSFには興味深い予測がたくさんある

川上 量生(かわかみ のぶお)/1968年生まれ。京都大学工学部を卒業後、ソフトウエア専門商社に入社。同社倒産後の1997年、ドワンゴを設立。2014年にKADOKAWA・DWANGO(現・カドカワ)会長に就任。2015年から現職(撮影:今井康一)

――テクノロジーの変化を追う洞察力、センスを磨くのに、小説は有効?

ちゃんとしたSF、つまり単なるファンタジーや冒険モノではなく、未来予測をするタイプのSFには、実はけっこう現実的で、興味深い予測がたくさんある。今いちばんオススメしたいのは、『AIの遺電子』(秋田書店)という漫画。いわゆるシンギュラリティ以降の世界を描いた作品で、これは技術的な理解が細やかで、きっとこういう問題が起こるだろうという予測が非常に面白い。

――絶対にAIに置き換わらない仕事ってありますか。

会社の中でよく、「あのオジサンって何の仕事しているんだろう」「でも、ああいう人も、会社にはいなきゃいけないんだよね」なんて会話があるでしょう? こういう人こそ、AIでは置き換えられない。

特に文系の仕事は、ある意味パワーゲーム。意味がないから面白いというか、こういうものはAIに置き換わらない。たとえば官僚と政治家の仕事のどちらがAIにとって得意かといえば、圧倒的に官僚だ。なぜなら、官僚は具体的な仕事をしているから。一方で政治家の役割はもう少し抽象的。アイコン的な存在理由がある。能力と役割は別物といえばわかるかな。でも、そのポジションを多くの人が目指すようになって、位置が言語化、明確化された瞬間、AIで置き換え可能なものになってしまうのだろうけど。

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