内閣支持率急落の根因は、経済運営の失敗だ 日本国民は加計問題で我慢の限界に達した

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何より国民にとって重大なのは、生活水準が下がり続けていることかもしれない。企業に賃上げを行わせるという公約にもかかわらず、第2〜3次安倍政権下で1人当たり実質賃金は6%下落した。

正社員の基本給(名目値)は2012年から上がっておらず、65歳以上人口の4人に1人は来年4月に予定される年金カットの影響を受ける。そして2019年に予定されるのが消費税率の10%への引き上げだ。

日本政治の最大の欠陥は

経済運営の失敗に国民は何年も耐えてきたが、加計問題でそれも我慢の限界に達したようだ。安倍首相については、公約を実現できない無能ぶりに加え、傲慢で腐敗しているとの見方が広まっている。経済が好調なら、不祥事の影響ははるかに小さかっただろう。

政治スキャンダルが経済停滞に重なったのは、今回が初めてではない。1993年には、バブル崩壊とそれに続く一連の汚職によって自民党政権が崩壊した。混乱する今の日本政治にとって最大の欠陥は、政権交代を果たせる野党が存在しないことだ。

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。目下、日本の中小企業の生産性向上に関する書籍を執筆中。

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