教育費にムダの多い人が知らない選択と集中 「見栄」が価値ある選択を妨げる

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私は確かに一生懸命働きましたが、長男から四男までが6歳差なので、彼らが中学に上がり始めてから大学に入学していく4~5年間は、本当に家計は火の車でした。入学・在学時期が重なることがたびたびあったり、国公立の医大に行かせるはずが私大に行くことになってしまったり。その都度、選択と集中を繰り返し、教育費を捻出してきたのです。わが家に再び車のある生活が戻ってきたのは、手放してから5年後のことです。

見栄に左右されるとひどいことになる

賢い「選択と集中」を妨げるのが、「見栄」の存在です。子育てに見栄が入り込みやすいのは、年齢で区切られた子どもたちが同じスタートラインに立ち、ヨーイドンで一斉に走り始めるからではないでしょうか。「同じ年齢の子どもがいる」という共通点があるだけに、親同士は経済状況のちょっとした差異が気になりますし、うっかりすると過剰あるいは異常なまでに、「ほかの子より優れた子になってほしい」という考えが芽生えてしまいます。

この「ほかの子(とその親)に負けたくない」「格下だと思われたくない」という競争意識が、見栄の正体です。たとえば、1週間7日のうちすべて習い事で埋め尽くしたのに、すべてうまくいかなかったという家庭はごまんとあります。幼い頃から習わせる英語は、見栄といっていいかもしれません。

勉強に適性がなく、塾に通わせてもサボっている子、ただいすに座っている子もいます。それなのに、塾に通わせているのは「みんなが行っているから後れを取りたくない」という横並び意識ではないのでしょうか。ただでさえこらえ性がない子に、興味がないことを詰め込んでも無意味です。そのぶん、興味あることに集中させたほうが何倍も意味があります。

あそこのおうちがピアノを習うなら、うちも……

あの子が中学受験するなら、うちも……

勝ち負けにこだわって中途半端におカネをかけても、大した成果は得られません。

見栄に振り回されず、北極星を見据え、「選択と集中」で子育てをしていくには、住む場所が非常に重要です。

もし、住む場所を選べる状況にあるのなら、「見栄に左右されず」「価値のある選択を貫ける」場所選びをするべきです。住む場所は、ママ友付き合いのある母親、一緒に遊び学ぶ友達が必要な子どもにとって、人生を左右するほどの大きな意味を持ちます。

同じ町でも、通りを1本挟むとまったく住民のカラーが違うように、住む場所によって付き合う人はがらりと変わります。

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