米国の北朝鮮への執着は、アジアには迷惑だ ASEAN諸国との対話の中心も北朝鮮に

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北朝鮮政府は8月9日、太平洋上にある米国領、グアム島にミサイルを発射すると脅すことで、米国との緊張感をさらに高めた。東南アジア諸国もまた、金正恩朝鮮労働党委員長に脅威を感じているものの、米政府が北朝鮮問題を優先することには違和感を示していた。南シナ海で高まる緊張感などほかの危機的な問題を、米政府がそれほど重視していないという懸念があるからだ。

こうした中、今月初めに開かれた米国、北朝鮮、日本など「部外」国を含むアジアにおける最大の安全保障機構、ASEAN地域フォーラム(ARF)をティラーソン国務長官は巧みに利用しようとした。この場を通じて、参加国と北朝鮮との貿易などの取引を大幅に減らすことによって、北朝鮮を孤立させようと試みたのである(北朝鮮の外相はこの会議に出席していたが、ティラーソン長官がこの外相の存在を認めることはなかった)。

「戦略的忍耐」が終わる可能性は高まっている

ARFは通常より北朝鮮に対して強硬姿勢を取り、金政権による核開発プログラムに関して国際連合安全保障理事会の決議に従うことを要求。約10億ドルの価値がある北朝鮮の鉱物資源と海産物の輸出を禁じることに合意した。

こうした「制裁外交」と進めると同時に、米国と韓国は先月、物議を醸している終末高高度防衛(THAAD)ミサイルシステムのテストを実施した。北朝鮮、中国、ロシアから非難されているTHAADは、北朝鮮政府が行う可能性のあるミサイル発射への防衛策として、米政府によって韓国に配置されているところだ。

最近の米政府による発言から、トランプ大統領がいまや、北朝鮮の核施設への先制攻撃について、以前よりもっと真剣に考えているかもしれない、という国際的な懸念は深まってきている。8日には、北朝鮮に対して「炎と怒り」で対抗すると主張。過去には北朝鮮が「とても危なっかしい行動をしていて、それについて何かする必要があるだろうし……おそらく至急対処する必要があるだろう」とも述べている。

米政府が次に打つ手は明らかではないが、北朝鮮政府への「戦略的忍耐」という20年間のアメリカの政策が終わる可能性は、ますます高まっているだろう。その後の戦略のシナリオは、新たな段階の平和交渉から、金政権の主な収入源の1つとなっている兵器の海外販売が疑われる北朝鮮籍船の妨害といった攻撃的な措置まで多岐にわたっている。

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