米国の北朝鮮への執着は、アジアには迷惑だ ASEAN諸国との対話の中心も北朝鮮に

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米政府は、対策強化のためにカギとなる関係国、とりわけ中国政府を仲間に引き入れたほうが、懸命だとわかっている。しかし、中国政府はロシアなどと共に、北朝鮮に対してより包括的かつ広範囲な経済制裁を行うことについて消極的な態度を示してきた。

中国は、2月に北朝鮮の石炭輸入を停止するなど、それなりの措置は講じてきた。しかし、北朝鮮を不安定化させるまで金政権を苦しめる、極端な制裁を科すことはないだろう。中国政府は、過度な圧力は北朝鮮をさらに予期せぬ危険にさらすことになり、可能性は低いだろうが、金体制の崩壊につながりかねないとみている。

中国が金体制を維持したい理由

中国が金体制を維持したいと考えている理由は少なくとも2つある。1つは、北朝鮮政府の共産主義体制が崩壊すれば、中国共産党の正当性も傷つく可能性があるため。もう1つは、北朝鮮政府の崩壊が北中国境の不安定化につながりかねないからだ。仮にそうなれば、中国政府は国境にやってくる多くの北朝鮮難民に対処しなければならない。そして、金体制崩壊は、親米後継者が登場する可能性にもつながる。

こうした状況下、ティラーソン国務長官による北朝鮮に焦点を当てた訪問は、ASEAN加盟国の米政府に対する懸念を払拭する役割をまったく果たせなかった。そもそも、ASEAN諸国が抱える不安は、トランプ大統領にとって最優勢事項の1つではないからだ。

北朝鮮政府との緊張感が今後高まり続けるとすると、リスクの1つとして浮かび上がってくるのは、トランプ政権の外交政策の比重が朝鮮半島に集中しすぎる可能性があることだ。そうなると、米政府に友好的である東南アジアの同盟国にとって極めて重要な課題はますますトランプ大統領にとって、「優先順位の低い課題」になってしまうのだ。

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