障害者と補助犬を差別する人が知らない真実 なぜ悲しい出来事が起こってしまうのか

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1、“正しく知らない”から発生した出来事:同伴拒否

2002年5月、「身体障害者補助犬法」(以下、補助犬法)が成立。公共施設や、不特定多数の者が利用する施設で、補助犬の同伴を拒んではならないと定められました。しかし、2015年時点で、補助犬の同伴を拒否されたことのある人の割合は、66.0%にまで上ります(※3)。

こうした状況の中で橋爪さんは、補助犬に関する情報を正しく伝えるためのハンドブック、YouTube動画などを作成してきました。また、補助犬ユーザーから同伴拒否の相談を受ける度、可能な限りその事業者を訪ね、または電話をして、第三者の立場からアドバイスを重ねています。

第三者の立場からアドバイスする

「実際にお会いしてお話するということをすごく大事に思っています。実際に会うことで信頼関係が繋がるので、色んな所に出かけて行くようにしています。」と、橋爪さんは話します。

関東在住の聴導犬ユーザーは、こうした橋爪さんの活動をこう表現します。

「ユーザーの立場だったらどうしても一方的な面からしか物事が見えない。橋爪さんというクッションがないと、どうしてもぶつかってしまう。橋爪さんが、お店の立場はこうで、ユーザーの立場はこうって、お互いに交換してくれるので、うまく丸めてくれる。貴重な存在。」

海外からの補助犬ユーザー

2、“正しく知らない”から発生した不安:海外からの補助犬ユーザー

日本補助犬情報センターでは近年、海外の補助犬ユーザーからの問い合わせが増えているといいます。日本へ旅行に来られる方、移住を考えている方、また、米軍基地でもうすでに生活を始められた方など、相談のパターンは様々です。

海外からの補助犬ユーザーが増えることで直面している、新たな問題があります。日本の補助犬法に該当しない介助犬への対応です。世界共通の盲導犬と聴導犬とは違い、介助犬の定義やルールは世界各国で様々。日本での介助犬は、手や足に障害がある人のサポートに限られています。一方、海外では、精神的なサポートを行う介助犬なども存在します。

日本の法律に該当しない介助犬のユーザーは、介助犬と一緒には日本の公共施設などの利用が出来ないということになります。橋爪さんはこのような介助犬ユーザーに対し、日本の法律を伝えた上で、レンタカー使用の提案や、ペット利用可能な施設を探す方法を提供しています。

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