民泊が普及すれば外国人の旅の仕方は変わる これからは「人に会いに行く旅」に

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鶴岡:はい、出版物は国によって流通システムが複雑ですが、Facebookはコストが低いですし、国や特定の地域や人に直接話しかけられますから。もともとPRの仕事をしていましたので、始めた当時はインバウンドの事業というより「日本の広報、日本のPRをもっとしなきゃ」と思って仕事をしていました。

その後、東京五輪が決定し、2014年にインバウンドメディア「DiGJAPAN!(ディグジャパン)」とサービス名で事業化しました。最近でこそ訪日インバウンドの情報発信も活発になってきましたが、主要各国別のSNSで日本の観光情報を発信しているのは、観光庁、東京都とDiGJAPANぐらいだと思います。海外への情報発信をはじめてからもうすぐ5年ですが、「世界に向けて、日本の広報をしたい」という強い気持ちは今でもかわらないですね。

パソナというと最近、行政と連携したビジネスのイメージが強いですね。

役所はマーケティングパートナー

加藤:パソナが行政と連携した雇用創造や産業振興に関する事業をするようになったのは、割と最近のことです。私がパソナに入社して3年位経った時、ちょうどリーマンショックの後ですが、パソナで行政と連携した雇用創造事業を立ち上げようということになりスタートしました。当時の事業企画メンバーは私ひとり。行政と連携した雇用創造事業といっても社内で経験者が少なかったのもあり、霞が関の厚労省、経産省をはじめ首都圏の自治体を根気よくまわり、とにかく困っていることはないか、ひたすら聴いてまわりました。

鶴岡:行政の仕事を受けるのは、手続き的にも文化的にも民間と違う難しさがあります。経験の少なかったパソナにとっては難しかったのでは?

加藤:一般的にはそうなのかもしれないけど、私は運がよかったのか、割と大きな仕事を次々と受託させてもらえました。役所の方によくお話を聴くと、いろいろな問題を抱えていることが多いのです。最初は足立区の環境政策について調べる仕事だったり、中小企業と学生をマッチングさせる事業だったり、それまでのパソナの人材派遣の仕事にこだわらず、役所が困っていることはなんでも手伝う、そんなスタンスで始めましたね。私にとって行政の人たちは、マーケティングパートナーのような存在です。

鶴岡:マーケティングパートナーというのは共感できますね。私は昭文社で地域の強みを発見するため、フィールドワークやワークショップの仕事をしています。よく「外国人目線」「よそ者の意見」が大事と言われますが、「住民目線」「身内の意見」もすごく大事。「外国人目線」「よそ者の意見」をきっかけに、地域住民の方が地元の魅力に気づき、自分でセールスポイントを決めることがすごく重要だと思います。

役所や地元の方とのセッションは我々にとっても気づきが多く、マーケティングの原点のような仕事です。こうしたプロジェクトを行う上では役所と民間企業、大学はパートナーであり、チームメンバーですよね。「これは役所の仕事」と思った時点で、型にはまってしまう気がします。

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