民泊が普及すれば外国人の旅の仕方は変わる これからは「人に会いに行く旅」に

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鶴岡:加藤さん、VISIT東北の立ち上げ前からかなり東北に通われていましたよね?

加藤:そうですね。パソナの東北復興支援事業の企画・立ち上げを任されていました。震災後、東北に何度も通い、地元自治体やNPOと連携して、被災企業の経営者や被災者の方々と話をしました。その中で見えてきたのは、被災企業の経営者が、震災で従業員が減少し人手不足で事業が再開出来なくて困っている、被災者は震災で住居や家庭の事情が変わり、働きたいけど働けなくて困っている、いわゆる雇用のミスマッチが起こっているということでした。

東北の未来切り開く新産業の必要性感じた

(写真:DiGJAPAN!提供)

そこで東北復興支援タスクフォースを立ち上げ、社員が被災地に常駐して、被災企業と被災者の雇用マッチング事業を企画し進めた結果、約3000名の方の就労支援に繋がりました。

そして、就労支援事業を実施する中で、東北の未来を切り拓く新しい産業創造の必要性を感じ、東北未来戦略ファンドを立ち上げ、東北の起業家育成に取り組みました。パソナ東北創生(釜石市)、VISIT東北(仙台市)、イーハトーブ東北(一関市)の3社を立ち上げ、私も各社の事業戦略役員や事業開発プロデューサーとして関わりながら、東北の農業・観光産業振興や地域活性化に取り組んでいます。

加藤:鶴岡さんがインバウンドを始めたきっかけは?震災後ですか?

鶴岡:震災後ですね。震災前、私は昭文社の企業ビジョンとコミュニケーションをデザインする仕事をしていました。旅は人生の中で幸せの記憶となるすごく大事な体験で、昭文社はその「幸せの記憶」をひとつでも多く作るお手伝いをする企業になろう、とビジョンを定めました。

そのコーポレートビジョンを世の中に発表しようとした矢先に震災が起き、観光やプロモーションどころではなくなりまして。東北の復興支援地図を緊急出版する手伝いをしながら、自分が携わっている観光という仕事がいかに安心と平和の日常があってこそ成立するビジネスなのか、ということを痛感しました。

その後、少し落ち着いて来た頃に東北の風評被害をなんとかしたい、観光で日本の経済を元気にしたいと考えるようになったのですが、調べてみると日本の魅力が海外で全然知られていないことに愕然としました。それで、2012年秋からFacebookを使って日本の情報を海外に発信し始めました。最初は台湾、その後はタイ、韓国、シンガポール、インドネシアと世界各国に広げていきました。

加藤:出版社なのにガイドブックじゃなくてFacebookだったの?

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