ヒアリ騒動で沸いた「アリ殺虫剤特需」の実情 アリキンチョール、アリの巣コロリなど波及

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アリの巣コロリで見てみよう。あくまで絶対数自体にはさほど意味がないことを断っておく。今年4~5月は100万人当たりの購入点数が1週間当たり20~100点だったのが、6月以降は同150~250点程度まで急増した。ヒアリ騒動の波及を受けて、徐々に販売数が拡大しているようにも見える。

価格据え置きの状況

一方、これは日本流通の強さというべきか、商売の下手さというべきか、あるいは量産効果というべきか、消費者志向というべきか。この特需にたいして、各社は売価を吊り上げてはいない。

おなじくPOSデータを活用し、平均的な販売価格を見てみた。アリキンチョールの場合は1年を通じて600~700円程度、アリの巣コロリは450円前後で売られている。6~7月にそれぞれ特需で販売数を拡大しているにもかかわらず、価格はあまり変わっていない。

アリ殺虫剤の特需はあくまで、数量であり、単価ではないと理解できる。

日本はヒアリを完全に駆除できるのだろうか。今後の繁殖の程度によっては、もしかすると、ヒアリが日常的にいるという前提で生活を強いられる可能性もある。どの国も、外来の虫には苦労している。ヒアリがそこらじゅうにあふれるようになってしまえば、それは生活者としては怖い状況だ。このアリ駆除用殺虫剤の需要は「特需」ではなく恒常的なものになってしまうかもしれない。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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