離職者の多い会社にありがちな6つの特徴 社員を適正に評価できない会社は伸びない

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しかし組織には必ずしも能力が高くない社員もいます。そうした人々を切り捨てるわけではありません。そうした社員に対しては、能力の向上を促す制度を導入して、業績のアップを図る。これこそ、会社と社員でWin-Winの関係を築くことにほかなりません。

それを可能にするのが適正な「人事評価制度」です。「人事評価くらいウチの会社でもやっている」と思われるかもしれませんが、多くの企業では、せいぜい給与の査定くらいの目的でしか行われていないのが現状です。私に言わせれば、大変もったいない状況です。人事評価制度を上手に活用すれば、有能な社員を定着させ、今いる社員の能力の底上げを図ることができ、ひいては業績アップにつなげることができるからです。

産休後の復帰率100%の職場になる

実例をご紹介しましょう。私の知っているある広告代理店は2008年リーマンショックをきっかけに、業績が大幅に悪化しました。

そこで、徹底した成果主義の給与体系を導入。その結果、2011年には、同程度規模の広告代理店の中でトップクラスの売り上げを達成しました。ところが、社員数が約100人まで増えた2012~2013年ごろ、成果主義の弊害が出てきたのです。

売り上げだけで社員を評価した結果、皆が数字だけを追いかけるあまり、クライアントへのフォローを忘れたり、チームワークが悪くなったりしました。社内の雰囲気がギスギスしてくる悪影響ばかり目立ちはじめたのです。

その結果、ある年は10人の中途採用社員のうち7人が半年以内に辞める事態になってしまいました。これでは一時的に業績が向上したとしても、社員が育たないので、会社の発展も期待できません。この苦境を打開する切り札が人事評価制度でした。評価の基準として、仕事に対する「誠実さ」といった、会社の理念を体現する内容を盛り込んだところ、社員の意識が徐々に変化し、クライアントからのクレームはほぼなくなりました。

効果はそれだけにとどまりません。まずはマネジャーと社員の間で交わされる会話の質が変わりました。これまでは営業実務の話、つまり業務連絡しかありませんでした。それが、「あいさつは元気にしようよ」「営業だってチームワークが大事だ」「書類の提出期限は守ろう」といった、仕事の取り組み姿勢についての会話が生まれるようになったのです。

マネジャーの育成にもつながりました。社員の評価を的確に行うには、メンバーとのコミュニケーションが不可欠だからです。つねにメンバーを観察し、そのうえで自身の能力向上に努めるなど、マネジメント層の意識が大きく変わったのです。

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