安倍内閣に集まった寝首を掻きかねない面々 支持率浮揚を狙って異例の抜擢をしたが…

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また菅義偉官房長官のほか、河野太郎外務相と小此木大臣の3人が自民党神奈川県連に所属している点も注目だ。菅長官は政治家になる前に小此木大臣の父である故・小此木彦三郎元通産相の秘書を務めていたという関係もある。

もっとも菅長官が国政に進出した時、小此木家は決して好意的ではなかったという。また河野大臣は菅長官の閣内ライバルである麻生太郎副総理兼財務相の“志公会”のメンバーだ。

しかしながら、一部ではこの人事は菅長官の意向が反映されたといわれている。それが本当なら菅長官も“ポスト安倍”を狙おうと、神奈川県連を固めるために置いた布石かもしれない。

野田氏は来年の総裁選出馬に意欲

総務相が高市早苗氏から野田聖子氏に代えられたのも興味深い。同学年の2人は互いに「ライバル」と見なされてきた。第2次安倍政権が発足した2012年12月、安倍首相は高市氏を政調会長、野田氏を総務会長に抜擢し、ある意味で2人を競わせている。

しかし2014年9月3日の内閣改造では、安倍首相に近い高市氏が総務相に抜擢された一方で、この日に54歳の誕生日を迎えた野田氏に安倍首相からバースディプレゼントは贈られなかった。

「誰も来てくれないかと思った」

この時に開かれた政治資金パーティーで、野田氏は自虐的にこう述べている。

その奮起が2015年の総裁選出馬表明に繋がった。この時、野田氏は立候補に必要な20名の推薦人を集められなかったが、その原因は陰で猛烈な切り崩しがあったためだ。無風で2期目に入りたかった安倍首相にとって、野田氏は小さくない脅威となっていた。野田氏が昨年の東京都知事選で小池百合子都知事を応援したことも、懸念材料となったはずだ。

しかも総務相の仕事は、野田氏にとって初めてではない。37歳の時には史上最年少(当時)で郵政相に抜擢された。その郵政省が2001年の中央省庁再編で自治省、総務庁と統合されて誕生したのが総務省。今回の総務大臣就任は、いわば野田氏にとって“古巣”への回帰といえる。

そして総務大臣に就任早々、野田氏は来年の総裁選への出馬に意欲を見せている。

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