「折り畳みケータイ」は、絶滅の危機にあった OSは駆逐、部材も入手困難、どう乗り越えたか
直近の例を挙げると、KDDI(au)は今年の夏商戦に向け「MARVERA KYF35」と「かんたんケータイ KYF36」の2機種(両機種とも京セラ製)の投入を発表した。
いずれも防水・防塵性能だけでなく耐衝撃性能も備えるなど、安心して使えることを重視し、さらにディスプレー全体がスピーカーとなって音を聞きやすくする「スマートソニックレシーバー」を搭載するなど、シニアを意識した機能が多く備わっている。
現在販売されている携帯電話の大半は、「携帯電話の形」をしているだけであり、中身は一般的なAndroidスマホとほぼ同じだ。より正確にいえば、これらは米グーグルがAndroidにおいて公開しているソースコード「Android Open Source Project」(AOSP)を用いて作られている。
グーグルの各種アプリやサービスを搭載できるライセンスを受けていないなど、一部条件を満たしていないため「Androidを搭載した」とはいえないが、ベースはAndroidと同じであり、Androidと同じアプリが動作する。
使っていたOSは駆逐され、部材も入手困難に
そして携帯電話メーカーは、2015年ごろから従来の携帯電話に代わり、このAOSPをベースとした携帯電話を開発・提供するようになった。2015年にシャープがau向けに投入した「AQUOS K SHF31」を皮切りとして、NTTドコモやソフトバンクも相次いでAOSPベースの携帯電話に切り替えている。
一方、昨年11月にNTTドコモが、「iモード」対応携帯電話の販売について一部を除いて昨年中に終了すると発表。従来の技術を用いて作られた携帯電話は、市場からほぼ姿を消している。
携帯電話を利用し続けるユーザーの多くはシニアであり、「電話とメール、あとはカメラが少し使えれば十分」という人も多い。ならば、新しい技術を用いて携帯電話を作り直す必要があるのか、という疑問も湧く。
だがメーカーの立場からすると、これは必要不可欠なのだ。それは、従来の携帯電話に用いられていたOS(基本ソフト)に対応する部材が、もはや製造されていないからである。かつてiモード対応携帯電話などに搭載されていたOSは、フィンランド・ノキア主導で開発されていた「Symbian」など、iOSやAndroidに駆逐され開発が止まってしまったものがほとんどである。
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