北欧自動車「サーブ」は中国資本で復活するか 中国企業傘下の成功例には高級車「ボルボ」

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フォード傘下時代とは打って変わって、資金力のあるジーリーは、ボルボ買収後に研究開発費を積み増し、内燃機関やプラットホーム(車台)、デザインの刷新を進め、ボルボを高級車ブランドに押し上げた。

親会社が支援、ボルボの開発費はスバルの倍

ボルボの販売規模は小粒ながら、研究開発費として、年間販売100万台規模のマツダやSUBARUと同程度の年間1300億円弱を投じている。1台当たりの開発費に換算すると、これら2社の倍近い金額をかけていることになる。

ボルボが社運を懸けて開発したプラグインハイブリッドSUVの「XC90」(記者撮影)

豊富な資金力を後ろ盾にするボルボは、自動運転や電動化といった次世代技術にも積極的に取り組んでいる。7月には、2019年以降に発売する車をすべて、マイルドハイブリッド(簡易型のハイブリッドシステム)を含む電動車にすると、伝統的な自動車メーカーで初めて宣言した。

買収当時は中国資本でブランドが毀損することが危惧されたものの、ボルボの販売は買収後から着実に伸びている。直近5年間で年間販売台数は2割増の53.4万台に達した。

前出の呉研究員は、「ジーリーは資金援助のみで、ボルボの経営には直接関与しなかった。自主性を重んじたことが成功の一因」と分析する。

ボルボとジーリーの二人三脚は今のところ順調に進んでいる。先述のNEVSもこれに続くことができるか。中国企業によるM&Aの真価が問われるのは、まさにこれからだ。

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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