相次ぐ廃止・減便、露呈した“余剰空港”

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空港建設原資は航燃税 負担軽減求めるANA

増殖を続ける空港の多くは、航空会社が支払う空港使用料や航空機燃料税などで賄う社会資本整備事業特別会計・空港整備勘定(旧空港整備特別会計)で建設されている。航空会社には負担だが、国内航空需要が右肩上がりの時代には、そうした国の政策に各社とも協力、地方路線を張り巡らしてきた。路線を維持したい地元の要望は根強く、規制緩和後も航空会社は一度開設した路線から簡単には撤退できなかった。

スカイマークがかつて撤退を繰り返し、集中砲火を浴びたほか、昨年もANAが新潟-福岡線の廃止届けを提出後に、地元の批判を受けて白紙撤回した。不人気の空港は着陸料減免などインセンティブも用意して必死だ。ANAが就航に難色を示した石川県の能登空港は搭乗率保証制度を導入。基準を下回れば、航空会社に最大2億円を支払う仕組みまで取り入れ、誘致した。「知事や議員にとって空港は実績作りのシンボル。航空会社はそれに付き合ってきた」と民間シンクタンク関係者は話す。

だが、空港建設の原資は突き詰めれば利用者が払う運賃。山元ANA社長は「航燃税の負担半減を政府にお願いしている。その分は利用者に還元したい」と話す。航燃税の支払額はJALが年500億円、ANAも450億円に上るが、海外の多くでは課せられていない日本特有の負担。自由化で海外航空会社との競争は激化しており、余計なコストはどこも払いたくないのが本音だ。

そこに燃料高が押し寄せる。ANAの山元社長は燃料高が続けば、来年度は廃止・減便が今年度を上回ることも示唆。JALも「経営再建に向けて聖域は設けない」(幹部)方針だ。バラまきを続けた日本の空港行政は、反旗を翻した国内2強によって、転換期を迎えた。過剰投資を見直さなければ、空港を運営する地方自治体の財政悪化につながり、結果としてそのツケが国民負担に回ることにもなりかねない。


(冨岡 耕 =週刊東洋経済 撮影:大隅智洋)

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