無難な仕事人生から「脱ける」ための考え方 はあちゅう氏が自身の経験から語るヒント

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――当時は会社員をされながらも個人ブログの更新は続けていらっしゃいましたが、そこにはどのような想いがあったのでしょうか。

コピーライターの世界はとても伝統的で、今でも師弟制度のもと、「課題について百本コピーを書く」といった訓練があったりします。そんな日々の鍛錬のなか、自分のやりたいことが少しずつ見えなくなっていくような気がしていました。

私のやりたいことというのは「自分が言いたいことを書くこと」でコピーライターのように「クライアントが言いたいことを書く」ための言葉探しではなかったということにだんだん気づきました。

つまり夢は「コピーではなく、エッセイを書いて生きていくこと」だったんです。その夢を叶えるためにブログも続けていたはずなのに、会社員でブロガーというのはどうなんだろうと、自分のなかで遠慮をしていて。オンラインにいる「はあちゅう」という人格と、電通社員の自分というキャラクターが違い過ぎて、ブログを更新するのも後ろめたい気持ちを抱えるようになりました。

「書くのが好き」な自分の軸を大切に

――その後、トレンダーズに転職をされたのち、27歳で独立をされています。現在は「はあちゅう」という名前がそのまま肩書きになるような活躍をされていらっしゃいますが、その根底にある思いとは何ですか。

はあちゅうさん/ブロガー・作家。1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、カリスマ女子大生ブロガーとして活躍。電通、トレンダーズを経てフリーに。「ネット時代の作家のかたちをつくる」ことを目標に、オンラインサロンや月額課金コンテンツ『月刊はあちゅう』の運営など、表現の場所を広げている。近著に『半径5メートルの野望』(講談社)、『かわいくおごられて気持ちよくおごる方法』(幻冬舎)、『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(角川書店)など

やはり「書くことが好き」というのがすべての根底にあります。独立してからテレビへの出演機会も多く頂けるようになりましたが、私は家で書いている時や、書いたもの人がの心に届いた時が一番幸せなんだなということがよく分かりました。

昔はテレビに出る側の人にぼんやりとしたあこがれを抱いていたのですが、実際にやってみて感じたのは、私は映像であれこれやるより、書くのが好きな人間なんだなぁと。それを実感してからは、書くという自分の軸を大事にしようと、より一層強く思うようになりました。

――やりたいことを仕事にできる、という喜びは大きいと思いますし、理想的ですよね。では、はあちゅうさんにとって「仕事で成功する」というのはどんなことだとお考えですか。

ビジネスパーソンとしての成功の形とは、「新しい価値を人に提供する」ことだと思っています。見たことのないものを見せる、これまでの生活になかったものを届けることができたら成功。その新しいことが社会的な価値を持つことができたら、おカネが入ってきたり、知名度が上がったりするものだと思うんですね。

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