「無痛分娩」で妻が死亡した夫が告白する心中 1歳の息子はいまだに意識不明

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実は事故の多くがこの観察を怠った結果、発生している。

麻酔を使った出産方法だが、「無痛分娩には、ガイドラインなど統一したものは現在整っておりません」と明かすのは日本産科麻酔学会の担当者。さらに、

「ガイドラインは早急に議論し、作る必要があります。ほかにも産科麻酔の専門医の資格化についても話し合い、安全性の確立や体制を整備しなければならないと思います」

と今後の取り組みを明かす。

医師の提案で決まった無痛分娩

幸せそうな表情でほほえむ美樹さんの結婚式の写真(遺族提供)

兵庫県姫路市の産婦人科『オカ・レディースクリニック』は積極的に無痛分娩をすすめていない。岡憲史院長は、

「やり方のコンセンサスが取れていない。カテーテルの本数も使う麻酔も、現状は病院によってまちまち。ひと言でいえば混沌としている状態」

と、医療の現状のバラツキを指摘。その混沌の犠牲になるのが、妊婦であり赤ちゃんであり、その家族だ。

東京在住の広川大輔さん(32・仮名)は、2015年9月2日、無痛分娩事故に見舞われた。硬膜外麻酔の誤注入により妻・美樹さん(当時33・仮名)は重大な後遺障害を負い、意識を取り戻すことなく今年5月12日に死去。緊急帝王切開で生まれた息子も脳に重い障害を負い、1歳となった現在も意識のないまま入院生活を送っている。

美樹さんは実家のある神戸市で里帰り出産を望んだ。決めたのは家からいちばん近い『おかざきマタニティクリニック』。

ただし、夫妻は最初から無痛分娩を望んでいたわけではない。美樹さんは身長150センチ強と小柄。赤ちゃんは3500グラム弱と大きめで「お産に時間がかかり大変」と院長医師からの提案があったからだ。

「美樹も医師を信頼していた。あのとき反対していたら」

と、後悔をにじませるのは美樹さんの姉・咲子さん(仮名)。医師に促されるまま無痛分娩で出産が決まった。

陣痛が始まったのは出産前日の9月1日。翌朝、まず試験的に少量の麻酔を投入するテストドーズが行われた。ここで医師は美樹さんを残し、外来に。異変はすぐに現れる。

「私が突然呼ばれて“足がしびれて自分では動けないから車イスに乗せてほしい”と言われました」(前出・大輔さん)

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