外国人が買った会社・売った会社トップ100社 買い越し続く2017年度の注目銘柄は?

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4位は自動車用ランプの市光工業。従来から資本提携関係にあったフランスの自動車部品大手ヴァレオ・バイエンによる公開買い付けで、1月に同社の子会社になった。

海外での事業拡大に期待して買われたのが、エス・エム・エス(5位)やリクルートホールディングス(14位)だろう。

エス・エム・エスは介護や医療業界の人材紹介などを行っているが、アジア・オセアニア12カ国で医薬情報サービスを提供するMIMSグループを2015年に三井物産と共同で買収、海外売上高は1.8倍に伸びた。2017年6月にはマレーシアの看護師人材紹介会社を子会社化するなど、今期も海外拡大に積極的だ。

リクルートホールディングスは米国の求人サイト、インディード(2015年買収)が好調。さらに2016年5月にはオランダの人材派遣会社も子会社化するなど海外展開を活発に行っている。なお、今期からIFRS(国際会計基準)へ移行している。

一方で、外国人投資家が売ったのはどういう会社か。

持ち株比率が最も下がったのは、温度センサなどを製造・販売する大泉製作所で、持ち株比率は31.5%ポイント減。業績不振が続いたが、米国投資ファンドの支援の下で黒字定着にメドがつき、2016年12月に国内の投資ファンドのインテグラルが公開買い付けで投資ファンドなどから3割超を取得した。

2位はクレーンなどの搬送機器メーカーのキトーで、フィンランドの同業との資本提携解消に伴い自社株を買い戻した。また3位のプラザクリエイトも、オランダの印刷会社との資本提携解消による自社株買い戻しによって上位となった。

持ち株比率が高い場合は注意が必要

好調な任天堂の据え置き型新型ゲーム機「Switch」。携帯ゲーム機としても使用できる(撮影:田所千代美)

2017年度に入って、外国人投資家の動きはどうか。

3月まで売り越しが続いたが、4月からは3カ月連続の買い越しだ。7月も2週目まで買いが優勢になっている。

では、海外マネーはどの銘柄を買っているのだろうか。

2016年度に外国人が売った銘柄の29位にランクインしていた任天堂は、今年7月24日の株価が3万6240円と、3月末から40%上昇している。3月に発売された据え置きの新型ゲーム機「Switch」の販売が好調だ。同社の海外売上比率は7割を超えており、外国人にもわかりやすい。買い戻しに入っている可能性がありそうだ。

2016年度に外国人が売った銘柄の今年度予想ROEの平均は7.3%で、前期実績の5.5%から改善する会社も多い。昨年度は手放されたものの、今年度は買い直される企業も出てきそうだ。

逆に2016年度に買われた会社では、双日(37位)や商船三井(50位)の株価が3月末から横ばい、あるいは下落している。いずれも外国人持ち株比率が45.7%、40.8%と比率が高い。「外国人は短期売買が多いため、保有比率が高まると売り圧力が強まりやすい」(国内の投資家)との見方もある。外国人投資家で株価が決まるわけではないが、影響の大きさを考えれば頭の隅には入れておくべきだろう。

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