外国人投資家はどんな銘柄を買い、どんな銘柄を売るのか。
日本の株式市場における外国人投資家の売買シェアは6~7割に上っており、日本市場に与える影響は大きい。特に2012年末に安倍政権に替わってからはアベノミクスをハヤして大量の海外マネーが流れ込んできた。
ただ2015年6月を境に潮目が変わった。外国人投資家は売り越しに転じ、歩調を合わせるように日経平均株価は下落。2015年度(2015年4月~2016年3月)は7年ぶりに外国人投資家の売り越しとなった。
その流れを受け継いだ2016年度(2016年4月~2017年3月)も外国人の動きは鈍かった。11月に米国大統領選挙でトランプ候補が勝利したのを機に、期待感から年末にかけて外国人の資金が一時的に大量流入し、年度ベースでは5000億円の買い越しになった。だが、この買い越し額はアベノミクス以降では低水準。2016年度は勢いに欠ける年だった。
韓国企業が直接所有する事例も目立った
そんな中で、外国人はどんな銘柄を買ったのか。東洋経済では外国人持ち株比率を年に2回調査している。持ち株比率を基に、2016年度に海外投資家に買われた株と売られた株の上位100社をそれぞれランキングした(対象は3月決算企業)。
外国人持ち株比率が上昇したのは1365社、減少したのは936社だった。ROE(自己資本利益率)で比較すると、上昇した会社の平均は8.0%、下落した会社は5.5%だった。議決権行使助言会社のISSが水準としているのは「5%」だが、ROEのより高い銘柄が買われる傾向にある。
外国人持ち株比率が最も上昇したのはシャープだ。2016年3月末で12.2%だったのが、2017年3月末には72.6%に上昇した。2016年8月の鴻海精密工業による買収が背景にある。
2位はソーシャルゲームを運営するコムシード。もともと韓国系企業が筆頭株主だったが、その日本法人を通じて所有していた株式を韓国の持ち株会社が直接保有したことで、外国人持ち株比率が上昇した。ゴルフ用品メーカーのマルマン(7位)も、韓国企業からの借入金を株式化したことで、外国人持ち株比率が上昇している。
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