福岡・岩田屋三越が今こそ「農業」に挑むワケ

「福岡三越」屋上にミツバチ15万匹の養蜂場

大小の島々が浮かぶ伊万里湾を一望し、千枚超の棚田が広がる絶景で観光名所になっている「大浦の棚田」

観光名所の棚田でコメ作りに参加する百貨店社員

一方、天神から西へ60キロ余り離れた佐賀県唐津市肥前町。約40の島々が浮かぶ伊万里湾が一望でき、千枚を超す棚田が広がる。ここ「大浦の棚田」(約30ヘクタール)は、1999年に「日本の棚田百選」に選ばれた地元屈指の観光名所。岩田屋三越のコメ作りの現場はその一角にある。

6月、別の日の昼前。最上部付近の棚田に、作業する男性6人の姿があった。うち5人は蛍光色や迷彩柄などのスポーツウエア姿。頭にはバンダナや野球帽、手には軍手ではなく、カラフルなスポーツ用手袋……。農村の田園風景と釣り合わない都会的な雰囲気が漂う。

炎天下に棚田の狭いあぜに腰をかがめ、蒸し暑さと闘いながら草取り作業に精を出す岩田屋三越の社員ら

この5人は岩田屋本店と福岡三越の食品担当バイヤーと食品売り場の社員。JAからつの職員1人を交え、狭いあぜ道や棚田の石垣で、草刈りをしていたところだった。腰をかがめ、手鎌で草を刈り取り、ゆっくり進む。帽子もシャツも汗でびしょぬれだ。

これは「岩田屋三越ファーム」と銘打った社内プロジェクト。食品担当社員ら約40人が参加している。地元農家から借りた棚田6枚(約3千平方メートル)に、JAからつの協力を得て早場米「上場コシヒカリ」を栽培。4月下旬に田植え、8月中旬に収穫するまで2週間に1度の草刈りを行う。1トンの収穫を見込んでおり、9月上旬、2店の店頭で販売する予定だ。

休憩時間。近くのおばちゃんから差し入れが届いた。レジ袋いっぱいのビワに、5人は「生き返る〜。水分も糖分も適度に補給。スポーツドリンクよりいいかも」。

(左)近所の農家が社員らに届けたビワの差し入れ。レジ袋いっぱいに詰められ、甘い香りがあふれていた(右)休憩時間、差し入れのビワにかじりつく社員ら。草刈り作業で汗だくになり乾いたのどを、みずみずしい甘みが潤す
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