一向に進まない、金融機関のリスク資産シフト 市場動向を読む(債券・金利)

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日銀の異次元緩和から約4カ月余。物価は上昇し始めたが・・・(撮影:尾形 文繁)

アベノミクス効果への期待を織り込んだアベノミクス相場がスタートしてから早9カ月。この間、円相場はデフレ脱却を見越して一時1ドル=103円台まで下落し、日経平均株価はそうした円安を好感して1万6000円に迫った。

一方、日本銀行が量的・質的金融政策(いわゆる異次元緩和)という社会実験に着手してからは、4カ月が経過した。日銀はインフレ期待を喚起するべく、月間7兆~8兆円もの長期国債を市場から購入し、マネタリーベース残高(=日銀券+日銀当座預金)の積み上げに余念がない。

こうした中、7月のコア消費者物価指数の前年比上昇率がプラス0.4%と曲がりなりにもプラス圏に浮上。政府は先週15日に公表した8月の「月例経済報告」で、「デフレ状況ではなくなりつつある」とし、物価判断を前進させた。しかし、「デフレに2度と逆戻りしないと確信できる」という意味での完全なる脱デフレまでは見通しにくい。

預金が伸び続け、銀行は無理して貸し出しを捻出

それは、国策と言っても過言ではない“ポートフォリオ・リバランス”がいまだ確認されていないことが一因だ。

 ポートフォリオ・リバランス(効果)とは、一般に、日銀当座預金のような安全資産が金融機関のポートフォリオに占める割合が大きくなったところから、貸し出しをはじめとするリスク資産を増やすことによって資産構成の調整を行うこと。要するに運用資金の安全資産からリスク資産へのシフト、あるいは分散投資のことである。

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