介護にかかるおカネは800万円がメドになる 金額がわかれば「親の介護」も「老後」も安心

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さらに70歳以上の高齢者で年金のみの収入等、年収が少ない場合は自己負担の限度額はもっと低くなります。それに月に100万円の治療費がかかるというのは手術をした場合ぐらいですから、それほど頻繁にあるわけではないでしょう。実際には、それほど大きな負担にはならないだろうと思います。

したがって前述の介護費用の平均550万円に、一般的にかかると考えられる医療費の約250万円を含めて、800万円程度と考えておくのは、合理的な金額と言っていいのではないでしょうか。

なお、医療費の約250万円の内訳ですが、65歳から89歳までの医療費自己負担額の合計192万円(厚生労働省の年齢階級別1人当たり医療費の自己負担額実績、平成26年度)と、入院した場合、70歳以上の自己負担額の月額上限が月5万7600円ですので、累計10ヵ月程度入院したとして、57万6000円。この二つを足して約250万円としています。

「親の分は親が」「自分の分は自分で」が大前提

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さらに考えておくべきことがあります。それは誰が誰の介護をするのか?ということです。

現在50歳未満の方であれば、まず頭に思い浮かぶのは自分や配偶者の親の介護でしょう。そして親を看取った後に来るのは、自分たち自身の介護です。

まず親の介護ですが、この介護費用についていえば、親に年金収入や蓄えがまったくないという場合を除けば、原則として親自身のおカネで賄うようにすべきです。

そうでなければ、自分の介護がやってきたときに自分で賄うことができなくなってしまうからです。そのために、いずれやってくる可能性のある介護については、金銭的なことについて親と十分話し合っておくことが大切でしょう。前述のように、介護というのは突然やってきます。もし兄弟姉妹がいるのであれば、介護の役割をどう分担するのかも相談しておくべきです。

そして、自分が介護を受けることになった場合、同じように子供に金銭的な負担をかけることなく、介護費用は自分で用意しておくべきです。その金額のメドが、前述の800万円ということになるのです。

日常生活費については、公的年金を中心にある程度賄うことは可能ですが、「介護費用を公的年金から出すというのはかなり厳しい」と考えておくべきでしょう。少なくともこの部分は自助努力で備えておくほうがいいと思います。

もちろん、これで完璧ということはありませんし、逆に準備はしたもののその必要がないということも起こりえますが、何もわからないままいたずらに不安を持つよりはメドとして考えておくべき金額を知っておくことは、とても有用ではないかと思います。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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